逆むけ
ある日の、スタッフとのお茶の時間です。
カメ子が、煎餅をかじりながら言いました。
「あっ、指に逆むけができてる・・・。そうだ、あのですね、鳥って逆むけを食べるんですかねえ。
小鳥を飼ってる知人の家に行った時、言うんですよ。『鳥は逆むけを食べるよ』って。」
と、その話題を聞いた瞬間、うつむいて遅番の夜食をすすっていたマル子が、急に目を輝かせて話しに加わる。
「そうなんですよ、逆むけを容赦なく食べるんです。セキセイインコなんか、特に好きですよ。
手に乗せてやると、指の逆むけをグチグチかじりながら、横の爪までゴリゴリ噛み付き始めるんです。
『こら、爪は剥がんぞ! そこまで食べるな!』って、怒ってやります。もう、とんでもないですから・・・。フフフ・・・」
「えっ!? 逆むけって・・・あの・・・、鳥が皮膚を食べるんですか?」
突然始まった逆むけの会話に、追いつけず戸惑っているネコ娘が、なんとか話しへの介入を試みる。二人の話しを中断させ、内容を確認しようとする。
「ねえねえ、逆むけって、人間の皮膚ですよねえ。人間の皮膚を小鳥が食べるんですか?」
「そうなのよ、好きみたい。すぐ齧りますよ。」
こういう話は、マル子のペースだ。おおよそ、妙な話やあきれる話し、眉をひそめるような話は、マル子の得意分野です。
「ふーん、ふーん・・・」
ネコ娘はもうそれ以上は突っ込む関心はないようだ。びっくりしたけど、それでもう、良いみたいである。
ところで、逆むけの話は、それ以上は盛り上がらず、
あとはまた彼女たちの、煎餅を齧る音が響くだけだった。
動物病院の、静かなお茶の時間・・・。
カメ子が、煎餅をかじりながら言いました。
「あっ、指に逆むけができてる・・・。そうだ、あのですね、鳥って逆むけを食べるんですかねえ。
小鳥を飼ってる知人の家に行った時、言うんですよ。『鳥は逆むけを食べるよ』って。」
と、その話題を聞いた瞬間、うつむいて遅番の夜食をすすっていたマル子が、急に目を輝かせて話しに加わる。
「そうなんですよ、逆むけを容赦なく食べるんです。セキセイインコなんか、特に好きですよ。
手に乗せてやると、指の逆むけをグチグチかじりながら、横の爪までゴリゴリ噛み付き始めるんです。
『こら、爪は剥がんぞ! そこまで食べるな!』って、怒ってやります。もう、とんでもないですから・・・。フフフ・・・」
「えっ!? 逆むけって・・・あの・・・、鳥が皮膚を食べるんですか?」
突然始まった逆むけの会話に、追いつけず戸惑っているネコ娘が、なんとか話しへの介入を試みる。二人の話しを中断させ、内容を確認しようとする。
「ねえねえ、逆むけって、人間の皮膚ですよねえ。人間の皮膚を小鳥が食べるんですか?」
「そうなのよ、好きみたい。すぐ齧りますよ。」
こういう話は、マル子のペースだ。おおよそ、妙な話やあきれる話し、眉をひそめるような話は、マル子の得意分野です。
「ふーん、ふーん・・・」
ネコ娘はもうそれ以上は突っ込む関心はないようだ。びっくりしたけど、それでもう、良いみたいである。
ところで、逆むけの話は、それ以上は盛り上がらず、
あとはまた彼女たちの、煎餅を齧る音が響くだけだった。
動物病院の、静かなお茶の時間・・・。
2009-08-10 15:00
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