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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

新型機械の感想

残暑の夕暮れ時でした。
ある手術用機械メーカーのムッシュが、車に荷物を積んでお出でになりました。

数日前に組織止血凝固装置について問い合わせた所、その機械を持ってデモンストレーションに来てくださったのです。

機械を積んだワゴンを押しながらムッシュは手術室まで運ぶと、額に汗を浮かべながら設置の準備にかかります。

「これは、このままカンシでパチンと挟んでフットペダルを踏むだけで、高周波電流が流れ、血管をシールし止血してくれるのです。

ちょっと、お待ち下さい。今、肉を出しますので・・・」

ムッシュは持ってきたラップを開けると、白いトレイに載った厚切りの肉をつかみ出しました。

「どうぞ、これで試してみてください。」

ムッシュの説明を聞きながら、私はその肉片を手に持つと、赤い肉の部分をカンシで挟みます。

青いペダルを踏むと、カンシの周りがジプジプと組織が沸騰するような音を立てて白くなります。センサーの音が変化するのに合わせてペダルから足を離すとそれで止血が終了です。

慣れれば操作は簡単そうです。
カンシの全体が大きくて、細かい扱いをやりにくそうでしたが、大きな部分や出血体質の子などどうしても止血に難儀する時には役に立ちそうです。

「では、一週間ぐらい置いていきますので、使ってみてください。」

ムッシュはそう言うと、帰って行かれました。

「ふーん、なかなかいいかもね、脾臓の摘出のときなど、スピードアップになるだろうね、どう思った?」

私がネコ娘にデモの様子を聞くと、彼女が答えました。

「あのう・・・、持って来られてたお肉はトンカツ用のヒレかロースのような、高そうなお肉でしたね。

めくれたラップの所に貼られていたラベルに、「ロ」の字が見えたのでロースかもしれません。

それとその下に、『お買い得品』って書かれてましたよ。」
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