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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

深刻な話

十二月に入ったある夜のこと、仕事が片付いてようやく家に帰ると、家内が言う。

「私、今日あなたの所に行って、一言文句を言ってやろうと思ってたんだけど、我慢してたの。でも、我慢して行かなくて良かったぁ・・・」

ちなみに自宅と動物病院は隣接している。

「えっ! また何か、まずいことあったかなあ?」

どきりとして、私は家内の顔色を恐る恐る窺う。

「へへ・・・、そうじゃないのよ。
私ね、前から車の調子が悪かったから午前中に修理に持って行ったのよ。それで置いてきて歩いて帰ったの。そしたら25分くらいかかったのよ、歩いたら。

それから掃除したり昼寝したりして、夕方取りに行く時間が近づいたので、さて出かけようと思って何気なく窓から駐車場を見たら、『あれ、車がない!』と思ったのよ。

『もう、往診に使うときは、前もって言ってねと頼んでいるのに、また黙って乗って行って・・・』

って・・・、私思って、しばらく車が帰ってくるの待ってたの。
だけどなかなか戻らないから、

『もう、いったいどこまで出かけてるの?』って、聞きに行こうかと思った時、
ハッと、思い出したの。

『そうだ! 車は今日自分で持って行ったんだ、だから今から車を取りに行くんじゃないの』って。

私、その時打ちのめされて、我ながら自分が情けないのを通り過ごして、怖くなって・・・、きっともうすぐ呆けちゃうから、

きっと、きっと、早く呆けるわって、思ったわ。
どうしようかしら・・・。」

確かに重症です。
早めに病院で診察を受けた方がいいだろうが、

奥様、あなたがハッと気がつかないまま、
普段私が悪者にされている事が多いかもしれない事も、
この際、併せてお考え下さい。
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