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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

頑固な人たち

「先生、こんど天神で神戸(かんべ)俊平さんの講演会がありますが、よかったら来ませんか?」

愛猫の避妊手術に連れて来られたムッシュMが、帰り際にそう誘ってくださいました。
ムッシュは山岳ガイドをしておられ、国内ばかりかキリマンジャロや南米サンドンシト峰など海外まで精力的に山岳案内されている方です。

「神戸さんは、ケニアで野生動物の保護などされている獣医さんです。だけどそれだけじゃなくて、人の熱帯病の研究もされているんです。
今度、九州の大学でしばらく研究する為帰国したので、報告会をもつんですよ。」

アフリカと聞けば、おもしろい話が山とありそうです。獣医には興味津々です。

「どうしてムッシュは、神戸さんと知り合いなのですか?」

「ハハハ・・・、もう38年前になります。まだこの頭に髪がフサフサしていた頃です。」

ムッシュは、ツルツルの頭を撫でて笑いながら、話しを続けられた。

「当時、私は世界中を旅して回ってたんですが、アスワンハイダムを船で渡るとき、偶然一緒になったんです。あの頃ダムを渡るのに三日かかったんです。」

「えっ! ただダムの向こう岸へ行くのに、船で三日もですか?」

私は信じ難く、思わず聞き返した。アスワンハイダムって、そんなに巨大なのだろうか!
それとも向こう岸の港が少し上流にでもあったのだろうか?

「そう、三日かかったんです。蒸気船でした。その時知り合ってから、ずっと会ってなかったんですが、ある日偶然会ったんですよ。ぜひ、おいで下さい。」

ムッシュは熱っぽく語る。

「そうそう、私はペシャワール会の中村哲医師も知っていますよ。」

「へえ、 ペシャワール会もですか。」

「そう、中村先生とも友達なんです。」

「ふーん、ペシャワール会なら私も先日、報告会に参加しましたよ。女性の事務責任者の方が、来てくれて。」

ペシャワール会というのは、パキスタンやアフガニスタンで医療人道支援や農業用水路建設工事で知られている団体です。
ムッシュは、さらに言葉をつないだ。

「神戸さんも中村医師も、事務の女性のFさんもたまたまクリスチャンですが、なぜかクリスチャンは頑固ですね。」

「ハハハ、頑固・・・ですか?」

「はい、頑固というか、1本スジが通っていて、信念がありますね。」

ムッシュは、会話の中で、二回繰り返して、クリスチャンは頑固だと笑いながら言われた。

世界で活躍する人々は、きっと頑固な部分がなければやっていけないかもしれないが、その中で、クリスチャンがどういう風にスジが通っていると感じるのだろうか?

私から見ると、ムッシュもなかなか頑固そう?でしたが、1本スジが通ってないと見ていて寂しく感じるのは、クリスチャンとおでんの鍋・・・でしょうかね。

自分にはどういうスジが通っているか?

信念を持って働く人生を、ちょっと考えさせられた朝でした。
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