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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

猫の出勤

「あのですね、いつも決まった時間になると、うちの垣根を通って行く猫がいるんです。」

ある日飼い猫の診察を終わった時、思い出したようにマダムがそう言われた。

「へえ、毎日、決った時間にですか?」

「そうなんです、いつも同じ頃になると、うちの庭を歩いて行く姿が見えるんです。」

マダムから聞いたのは、ただそれだけでした。

(ふーん、猫にも「決った時間」があるのか・・・。)

それがノラ猫か、それとも放し飼いの猫かわかりません。どちらかは不明ですが、猫も予定を立て、時間を見計らい、人のように行動を起こせるのでしょうか。

その猫は「とおる君」という名前が、いいような気がします。

とおる君は、縄張りの巡回に出かけるのでしょうか?4丁目は誰にも渡さないぞと、睨みを利かせて一回りしているのか?

それとも、かおるちゃんちの台所に入って、たーくんの飯を横取りする時間なので向かう途中でしょうか?

とにかく自分の意思で起き上がり、決めたコースを予定通り歩いているのは確かです。

そういう意味では、私たちが朝決ったように起き上がり、カバンを下げて学校に行くのと同じように、スケジュール通りに動いているわけです。

違う点と言えば、私たちは行きたくなくても無理に自分に言い聞かせて、頑張って学校向かうわけですが、

猫は、自分のしたい事をしており、しかし規則正しく予定通りに動いていると言う事でしょうか。

雨が降ったら「今日は止めとこう」とか、小雨だったら「どうしようか行こうか行くまいか迷うなあ・・・」とか、

あるいは途中で、飼犬の散歩に出くわしたら、車の陰に伏せてやりすごすまで待って、そしたらマダム達が立ち話を始めてなかなか動かず、「チェッ、今日は手間取っちまったなあ・・遅刻だ!」とか、

いろいろ考えて歩いているのでしょう。

猫を、いつ見てもどこそこ寝そべって、仕事もなくのんきに生きている奴らだ・・・なんて言うのは、大変な誤解かも知れません。

休日にゴロゴロしているお父さんと同じで、
ただ、誤解されたまま生態観察されてきた動物なのでしょう。
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