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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

両親の世話か、猫のためか??

「今ですね、鹿児島に主人の父が97歳で、母が90歳で、いえもう入院しているんですけどね、それで月に一回主人が帰っているんですよ。」

育ち盛りのプードルを連れてマダムIがおいでになった時、そう教えてくださった。

「あら、それは大変ですね。」

「その時ですね、『むこうの猫に食べさせてやる』と言って、猫用の缶詰を買い込んでいくんです。

『そんなに高いのにせんでも、普通のでいいやろ』と私が言っても、
『うちの猫だけ美味しいものを食べさせるわけにはいかん』って言って、高い缶詰を持って行くんです。」

「ご主人は猫が好きなんですね。」

「ええ、ハハハ、前の猫が死んで、次の猫が来んように私は犬を買ったんですが、やっぱり猫が好きみたいで、・・・」

「そうそう、うちの病院から一匹、里親捜しで子猫を引き取って行かれましたよね。」

「はい、それで、もういいやろうって思うんですけど、鹿児島の猫も気になるみたいで、」

「ハハハ、ご両親の介護に帰っているのか、猫の世話に行かれているのか、わかりませんね。」

「そうなんですよ、向こうには弟も住んでいるから、そこまであなたが猫にせんでもいいと言うんですけどね。」

うーん、ムッシュはよほど、猫好きなのでしょうか。

いえ、・・・最近思うのですが、人は何かを世話をする時、本当は好きだからしているだけでなく、癒されたくてしているような気がします。

そうでなければ、鹿児島まで重い缶詰を抱えて出かけるでしょうか?

可哀想だから、好きだから世話をするのは勿論ですが、それだけではなかなか体は動きません。
それらに加えて、自分自身が癒されることをどこかで感じるから、お世話ができるのではないでしょうか。

「お世話をさせていただく」というのは、本当にそうなのかもしれません。
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