ロクの冒険(その3)
「病院って・・・あなた、こんな時間よ。どこも開いてないわよ。」
「とにかくどこか、捜すしかないだろう・・・。そうだ、おい、確か、夜開いてるとこがどこかにあるとか言ってなかったか!?」
二人があたふたしながら相談している間も、ロクはギャウギャウ呻いている。とにかく痛そうだ。
それになんだかぐったりしてきた。さっきまでの興奮状態から、だんだん体が動かなくなってきたような気がする。
足からはポタリ、ポタリと出血も続く。
「あなた、あったわ! 見つけたわ、すぐ連れて来てくださいって。」
「おい、早く車に乗せろ!」
・・・・・・・・・・
こうして夜も11時近い頃、ロクは救急病院に担ぎ込まれたのでした。
30分ほど車を走らせると、外灯に照らされた国道沿いにぽっかり浮かび上がる救急病院。
到着して駐車もそこそこに犬を抱いて駆け込むと、すでに何人かの患者さんが待合室に座って順番を待っていた。
けれど、ロクのただならぬ様子に気がついた受付担当者が順番を入れ替えて先に診察室に通してくれた。
「あれー、ひどい怪我ですねえ、これ、本当に散歩中に急になったんですか?」
ドクターも顔をしかめながらパンパンに腫れた足を診る。ロクがわめく。ロクの首輪を押さえている看護士の手に力が入る。
ドクターが触ろうとすると、診察台でオシッコをちびるようにしてロクは暴れた。
「はい、草むらに飛び込んだと思ったら、急にギャンギャン言いながら戻ってきて、そしたらこうなってたんです。」
「ふーむ、これはマムシでしょうね。マムシに咬まれたんでしょう、それにしてもひどいなあ・・・。」
「先生、大丈夫でしょうか?ロクは助かりますか?」
「うーん、普通なら多分大丈夫だと思いますが、本人の体力と、毒の量とで、一概には・・・、ロクちゃんは小さな体ですからね・・・えーと体重は・・・たった6kgか・・・。」
「先生、なんとか助けてやってください。」
背の高いドクターの顔を見上げながらそう頼むマダムの目は、涙があふれかけている。
「はい、できるだけしますから・・・、おい、留置針の準備、それと酢酸リンゲル・・・」
普段でさえ知らない人には体を絶対に触らせないロクであったが、ましてひどい痛みで呻いている時です。スタッフ達が三人ほど集まり、ひどく暴れるロクを抑えての静脈確保に苦労します。
「ケージ空いてるか?ん?上の段の右側か、うん、そこにしよう、マダム、点滴が終わるまで付き添ってもらえますか?・・・じゃあ、一緒に行ってください。」
ケージに入れられたロクは疲れたのか毒にやられたのか、奥に引っ込んでごろりとなると、目を閉じてあまり動こうとしなかった。
(ロク・・・大丈夫かしら・・・)
点滴の間中、ぐったりしているロク。
こうして、その夜ロクは救急病院で適切な処置を受け、少し容態が落ち着いたのです。
(続く)
「とにかくどこか、捜すしかないだろう・・・。そうだ、おい、確か、夜開いてるとこがどこかにあるとか言ってなかったか!?」
二人があたふたしながら相談している間も、ロクはギャウギャウ呻いている。とにかく痛そうだ。
それになんだかぐったりしてきた。さっきまでの興奮状態から、だんだん体が動かなくなってきたような気がする。
足からはポタリ、ポタリと出血も続く。
「あなた、あったわ! 見つけたわ、すぐ連れて来てくださいって。」
「おい、早く車に乗せろ!」
・・・・・・・・・・
こうして夜も11時近い頃、ロクは救急病院に担ぎ込まれたのでした。
30分ほど車を走らせると、外灯に照らされた国道沿いにぽっかり浮かび上がる救急病院。
到着して駐車もそこそこに犬を抱いて駆け込むと、すでに何人かの患者さんが待合室に座って順番を待っていた。
けれど、ロクのただならぬ様子に気がついた受付担当者が順番を入れ替えて先に診察室に通してくれた。
「あれー、ひどい怪我ですねえ、これ、本当に散歩中に急になったんですか?」
ドクターも顔をしかめながらパンパンに腫れた足を診る。ロクがわめく。ロクの首輪を押さえている看護士の手に力が入る。
ドクターが触ろうとすると、診察台でオシッコをちびるようにしてロクは暴れた。
「はい、草むらに飛び込んだと思ったら、急にギャンギャン言いながら戻ってきて、そしたらこうなってたんです。」
「ふーむ、これはマムシでしょうね。マムシに咬まれたんでしょう、それにしてもひどいなあ・・・。」
「先生、大丈夫でしょうか?ロクは助かりますか?」
「うーん、普通なら多分大丈夫だと思いますが、本人の体力と、毒の量とで、一概には・・・、ロクちゃんは小さな体ですからね・・・えーと体重は・・・たった6kgか・・・。」
「先生、なんとか助けてやってください。」
背の高いドクターの顔を見上げながらそう頼むマダムの目は、涙があふれかけている。
「はい、できるだけしますから・・・、おい、留置針の準備、それと酢酸リンゲル・・・」
普段でさえ知らない人には体を絶対に触らせないロクであったが、ましてひどい痛みで呻いている時です。スタッフ達が三人ほど集まり、ひどく暴れるロクを抑えての静脈確保に苦労します。
「ケージ空いてるか?ん?上の段の右側か、うん、そこにしよう、マダム、点滴が終わるまで付き添ってもらえますか?・・・じゃあ、一緒に行ってください。」
ケージに入れられたロクは疲れたのか毒にやられたのか、奥に引っ込んでごろりとなると、目を閉じてあまり動こうとしなかった。
(ロク・・・大丈夫かしら・・・)
点滴の間中、ぐったりしているロク。
こうして、その夜ロクは救急病院で適切な処置を受け、少し容態が落ち着いたのです。
(続く)
2010-09-28 15:00
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