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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

「よーし、出発ーつ!」

秋の気配がようやく漂ってきた九月のある日、当院スタッフ一同は年に一度の遠足に出かけました。

「さあ、今日は仕事をせずに、一日遊ぶわー!」
という顔をしたスタッフ達は、気合も入り晴れやかな顔をしていますが、見上げた空はすっかり雨雲に覆われています。

「空模様は結構暗いなあー・・・」

「先生、大丈夫です。昼から晴れますよ!」

猫娘は自信たっぷりで保証する。昨日から何度も天気予報を聞いて、気圧配置まですっかりのみ込んでいるのだろうか。

「そうかい、ほんとうなの?佐世保まで行ってどしゃ降りだとねえ・・・」

心配性の院長は、疑いの目で猫娘をチラと見つめて、とにかく出発進行の掛け声をかけたのでした。

クッションの壊れた一台の車に五人で乗り込み、唐津経由で西九州道に乗りました。

「ウフフフ・・・」

後ろの席で、マル子とカメ子と猫娘がコソコソ喋っては、含み笑いをしている。
日頃、気晴らしも、楽しみも少ない暗い青春を送っている三人には、今日の遠足は大事な一大イベントでした。

ところが唐津に入ったあたりで風雨が格段に強くなる。途中、新しく道の駅が出来たと聞いたのでそこに立ち寄る頃には、猛烈な殴り雨になってきた。

「おいおい、本当に昼から晴れるのか?こんなに降ってきたぞ。」

お店のドアが風の圧力でうなり、ビニールが吹き飛ばされる。

「えー、大丈夫ですよ、多分・・・晴れると言ってましたから・・・」

猫娘は、まだ天気予報を信じているが、少し責任を感じて弱気な返事。
もっとも、猫娘には何の責任もないのだが。

そこで少しばかり甘い物を仕入れて齧りながら、さあ伊万里を抜けて佐世保へ・・・と思っていたら、国見峠が土砂崩れ全面通行止めの表示、やむを得ず迂回路から佐世保をめざす。

今回の遠足地佐世保での一番の目的は、スタッフらの立てた計画によれば佐世保バーガーを食べる事。

「えっ!、それが一番なの?」

「はい、まず、それが一番大事です。その次が、遊覧船です。動物園は時間があったらでいいです。」

ということで、11時半ごろ着くとお目当てのHバーガーへ。車を止める所がなく、近くの自衛隊資料館にとめ、7階から展示を見ていたら、それが結構興味深いものばかりで、結局1時間ちょっとそこで戦争の色々な歴史に触れ、私も考えさせられました。

普段なら全く立ち寄らない所なので、思いがけない収穫となったのです。若いスタッフたちも、それぞれ感じる事が多かったようです。

さて、その後バーガーを食べ、一応満足した我等は、その頃すっかり青空が広がってきたところで出発間際の遊覧船パールクイーンに急ぎ乗船し、九十九島の海に乗り出したのです。

風はまだ強く、帽子もメガネも吹き飛ばされそうなほどでしたが、デッキの上から眺める島影に、ワーワー言いながら眺めいっておりました。

さて話しが長くなりましたが、今回一番お伝えしたかったのは、その次の水族館「海キララ」です。

とても立派な水族館で見ごたえがありましたが、最後にイルカのショーの為飼育員が練習をしている場面を観ていました。

その時、頭にボールを乗せる練習をしていたのですが、水辺で飼育員がイルカの頭にフリスビーのような盆を載せ、一秒で落ちそうになるけどそれを取ってまた頭に載せ、また一秒で落ちそうになるけど、救い上げ、また頭に載せ、もし三秒くらい頭に載せてたら褒美の魚を一匹あげて、また練習を繰り返す、そういう場面を見せてもらいました。

その他ジャンプのさせ方、空中回転のさせ方など、興味深い話を色々お聞きしました。

犬の訓練と一番違ったのは、とにかく叱らないということです。
イルカを叱っても水の中で、どうしようもない。追いかけるのは無理だし、水では敵わない。もし怒らせて体を咥えられて水に引きずり込まれたら、人の命も助からない。

だから、叱らないで、イルカ本人がおもしろがって工夫をしたり、考えさせたりしながらモチベーションを高める方法で、練習をしていますということでした。

私たちも犬の訓練で、叱るのはそれほど効果的ではないのは知っていますが、それでも叱らないといけない時を感じます。

けれど水族館のように、本当に叱りようがない相手に対し、叱らない方法で練習するほうが、イルカが自分で工夫してやる気が出てきて意欲的にダイナミックに動いてくれる・・・というのは、非常に興味深い話でした。

以上、長くなりましたが、最近の出来事からご報告まで・・・。
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