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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

夫婦助け合い

「五郎の薬をください。」

ムッシュHが犬の五郎ちゃんの薬をとりにお出でになった。

五郎はもう中型犬の15歳で、老衰のため認知症の症状にかかっている。ご夫妻でここ一年ほど寝たきりの五郎ちゃんの体位交換したり、フードを口に入れてあげたり、オムツを換えたり・・・。

犬を残してゆっくり外出も出来なくなっている。

しかし今のところ一番の問題は、夜鳴きです。昼間こんこんと寝て、夜中中起きて鳴く事が多くなった。御夫妻は世話で多少疲れ気味だが、それよりも近所に迷惑をかけることを、気にされています。

それで五郎ちゃんが夜寝るようにと、薬を使っています。

「女房が本当によく世話をしてますよ、まったくはたで見ていて私も感心します。俺が寝込んだってこんなにはきっとしてもらえんだろうとおもうぐらい、ようするんですよ、ハハハハハ・・・・」

「ムッシュ、心配いりませんよ、ムッシュが寝込んだら、『あなた、あなた』って言って、甲斐甲斐しく世話をしてくれますよ。」

「いやいや、もうそんなことはない、アハハハハ・・・」

そんな話をしてムッシュが帰られたあと、待合室で話を聞いていたマダムIがこんなことを言われました。

「先生、でもみなさん、配偶者の世話をよくされてますよ。わたしはある病院の売店に勤務しているんですよ。それでご高齢の入院されている方々を毎日お見かけしているんですが、見ていると奥さんも、旦那さんも、どちらもよくされてますよ。

つい先日も、年配の奥さんがトイレに入って具合が悪くなったんですけど、そしたらご主人が付き添ってすごく良くされていましたからね。」

「ふーん、そうですか。それは嬉しい話ですね・・・」

老後については何かと悲観的な話しが多い昨今ですが、現場から伝え聞く良い話は嬉しいですね。
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