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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

2kgのミドリガメ

「先生、亀は診てもらえますか?」

ある日大きなミドリガメを連れて、ムッシュIがおいでになりました。にっこり笑顔の素敵なムッシュです。

「いや、私は亀はあんまりわかりませんが、どうしました?」

「雨の日に家から逃げ出して、探して近所で見つけたんですが、多分交通事故に遭ったかと思うんです・・・。」

「交通事故・・・ですか?」

亀の入ったタライを、診察台に上げてもらう。
ゴソリゴソリとその中で動き回るミドリガメの甲羅には、ピンク色の肉が見えるようにヒビが走っている。微出血も見られた。

「むむ、確かに割れていますね。甲羅の割れは、骨折と同じですから痛いでしょうね。体重はいくらかな?・・・えーと、ちょうど2kgですね、大きいなあ。」

「はい、もう15歳になります。」

15年も飼えば、亀も随分可愛いでしょう。飼主とそうでない人との判別もつくと聞いています。

甲羅の割れや手術後の傷にはパテで塞ぐと本で読みましたが、あいにく材料の準備がなく、軟膏塗布をして医療用シールを貼るだけにしました。

「この亀は卵を産むんですよ。」

ムッシュがそう言われた。

「水槽で産むと自分で踏み潰しちゃうんですがね。以前は庭の土に産んでたんですよ。でもそうしたらヘビが来るんですよ。なぜか分かるんでしょうね。不思議ですね、卵を産むとヘビが来てましたからね。え?ヘビですか?シマヘビです。

それが僕は気持ち悪くてですね。もう土の中には産ませないようにしました。」

「へえ、どうして卵が分かるんでしょうね。それで侵入して来たヘビを見つけた時ムッシュはどうしました?退治したんですか?」

「いえ、追い払っただけです。」

優しいムッシュです。逃がしてやったようです。

さて、それからだいぶ経ちましたが、あの亀の甲羅はうまく治ってくれたかなあ・・・・?
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