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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

車好きの犬

「すみません、犬が車から降りないので、何かありませんか?」

中型犬のオーデ君(仮名)がマダムIに連れられてやって来ました。けれども、車のドアを開けても、『いやだよ!』という顔をして、頑として降りようとしません。

「うちのオーデは、車に乗るのが大好きなの。すぐ乗るのよ。だけど、降りたがらないの。それが困るのよね。」

無理に降ろそうとすると、牙を剥いて咬みつこうと威嚇します。危ないので、まず大きなエリザベスカラーを犬の首に巻いて、それからマダムが抱きかかえました。

「まったく、手がかかるんだから・・・」

しかし診察室に入ったら、じっとおとなしく台に伏せています。いつもの痛み止めを打ってもらって、オーデちゃんはすぐ帰りました。


「先生、うちのラザニーも車が好きで、降りたがらないんですよ。」

オーデちゃんが帰った後、マル子が話し始めました。そうです。マル子の家には、凶暴なシーリーハムテリアが一頭います。

「車が好きで、すぐ乗るんです。でも、私が運転してて、ラザニーだけ助手席に乗せて置くでしょう、そしたら家に着いた時、降りようとしないんです。

無理に降ろそうとしたら、咬みつくんです。

『こら、降りなさい!降りるんだよ!』

お父さんが怒って降ろそうとしても、かえって凶暴になってガウガウ反撃してきて駄目なんです。

ただ、方法があるんです。家に着く前に誰かの膝に乗っていたら、大丈夫なんです。膝の上で、抱かれたまま降りたら黙ってるんです。

それで、家に着いて降りない時は、誰かがもう一度車に乗り込んで、ラザニーを膝に抱いて、近所を一周して帰ってくるんです。それで降りてくれます。」

まあなんとも、優しいというか、皆さん大変な苦労をしているようです。
でも、確かに犬の中には、ごくわずかにですが、そういうタイプのワンちゃんたちがいるようです。生活のある局面で、あたかも野生のような一面を見せる犬たちが。

そういう犬に出合った時は、むきになって叱ってももあまりいい結果は出ないのようです。彼らに合わせた工夫や対処をするほうが、怪我もないし、動物の人間不信?も悪化させないように思います。

専門家の皆さんの意見はどうでしょうか?

そう言えば、うちの奥さんも韓流ドラマが有ってる時は、テレビの前から立ちたがらないんです。
あれも無理強いすると後で機嫌が悪くなって大変です。

牙こそ剥きませんが、あとで角が出てくることがあります。
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