裏庭の枯れ枝
病院の裏庭に樹高3mほどの紅葉が一本植わっている。そしてその横に、ブロンズ色に古ぼけた、安いガーデンテーブルセットがひっそり置かれている。
座ると汚れが衣服につきそうなので、もう誰も座らないテーブルセットである。
ところが数週間前から、そのテーブルの上に枯れ枝が三本ほど置かれ、そのうちの一本には切り口の所に紐で木片が十字型に括りつけられている。
預かり犬などを裏庭に散歩に連れ出すたびに、みんなその不思議な枯れ枝をチラと眺めていた。
ところがいつまでたってもその枝がテーブルの上に横たえられているのである。
「先生、この枯れた枝は、何ですか?」
気になっていたのだろう。土曜日の夕方、仕事を終えてみんなで裏口から出る時に、テーブルの上を指してカメ子が聞いた。
「うん、僕も何だろうかと思ってるんだけど。」
「ずっと前からありますよね。」と、マル子。
「何でしょうかね。」と、タマエ。
「これはきっと、奥さんの呪いですよ。奥さんが先生に、魔術をかけてるんです。」
カメ子が怖いことを言う。
なるほど、三本の枯れ枝が、いかにも整然と南北に向けて置かれている。
「えっ!? 呪いかい?・・・、ど、どんなおまじないかな・・」
「うーん、先生を懲らしめようとしているか、それとも先生がもっと家のことを手伝うようにということかも・・・・」
「・・・・・・・」
カメ子はいつもぎくりとするような事を、ずけずけ言う。
私は、いつも妻が雀たちにパンくずなどを与えているので、そのために彼女が何かを作ろうとしているのかと、想像していたが、スタッフ達は数日かけて、どうやら別の想像をしているようだ。
気になったので、自宅に帰った後、庭の枝に果たして呪いがかかっているかどうか、妻に聞いてみる。
「ねえ、裏庭のテーブルの上に、だいぶ前から枯れ枝が置いてあるけど、あれは何なの?」
「えっ、枯れ枝? ・・・ああ、あれはゴミで出そうと思って置いているけど、いつも忘れてしまって、まだ出してないのよ。」
妻はさらりと言って、夕飯の支度から手を離さない。
「ふーん、捨てようと思って忘れてる・・ね・・・・」
それからしばらくたつが、まだ枯れ枝は、そこにある。
果たして、真実は明らかになったのか!?
座ると汚れが衣服につきそうなので、もう誰も座らないテーブルセットである。
ところが数週間前から、そのテーブルの上に枯れ枝が三本ほど置かれ、そのうちの一本には切り口の所に紐で木片が十字型に括りつけられている。
預かり犬などを裏庭に散歩に連れ出すたびに、みんなその不思議な枯れ枝をチラと眺めていた。
ところがいつまでたってもその枝がテーブルの上に横たえられているのである。
「先生、この枯れた枝は、何ですか?」
気になっていたのだろう。土曜日の夕方、仕事を終えてみんなで裏口から出る時に、テーブルの上を指してカメ子が聞いた。
「うん、僕も何だろうかと思ってるんだけど。」
「ずっと前からありますよね。」と、マル子。
「何でしょうかね。」と、タマエ。
「これはきっと、奥さんの呪いですよ。奥さんが先生に、魔術をかけてるんです。」
カメ子が怖いことを言う。
なるほど、三本の枯れ枝が、いかにも整然と南北に向けて置かれている。
「えっ!? 呪いかい?・・・、ど、どんなおまじないかな・・」
「うーん、先生を懲らしめようとしているか、それとも先生がもっと家のことを手伝うようにということかも・・・・」
「・・・・・・・」
カメ子はいつもぎくりとするような事を、ずけずけ言う。
私は、いつも妻が雀たちにパンくずなどを与えているので、そのために彼女が何かを作ろうとしているのかと、想像していたが、スタッフ達は数日かけて、どうやら別の想像をしているようだ。
気になったので、自宅に帰った後、庭の枝に果たして呪いがかかっているかどうか、妻に聞いてみる。
「ねえ、裏庭のテーブルの上に、だいぶ前から枯れ枝が置いてあるけど、あれは何なの?」
「えっ、枯れ枝? ・・・ああ、あれはゴミで出そうと思って置いているけど、いつも忘れてしまって、まだ出してないのよ。」
妻はさらりと言って、夕飯の支度から手を離さない。
「ふーん、捨てようと思って忘れてる・・ね・・・・」
それからしばらくたつが、まだ枯れ枝は、そこにある。
果たして、真実は明らかになったのか!?
2011-08-04 15:00
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