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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

見かけも大事

「・・・あ、それとですね、先生、ついでに診てもらいたいんですが、ヴィーナがこの頃よく頭を掻くんですよ。え? うーん、・・・だいたい首の辺り、頭の後ろ附近です。」

ボーダーコリーのヴィーナちゃんが混合ワクチンに来ました。私は一般健康状態を調べた後ワクチンを打ち、痒みの原因を調べるため周辺の皮膚を調べ、外耳道を覗きました。

少し赤くなった耳の中に綿棒を入れると、中から茶色の汚れがたくさん出てきました。

「ははあ、おそらく、この外耳炎が痒みの原因でしょう。マダム、今から滲出物を除去して薬を入れますから、ヴィーナちゃんの頭が動かないよう、持っていてもらえますか?」

「はい、こういう持ち方でいいですか?」

「ええ、それで持っていてください。」

・・・・・・・・・

「ヴィーナちゃんじっとしといてね。私、手が疲れてきたわ。」

ものの3分もたたないうちに、マダムは手がだるくなったようです。

「おやおや、マダム、もう手が疲れましたか?これぐらいで疲れてたら、被写体を狙って、何時間もカメラを構えることができないんじゃないですか?」

実はマダムはプロのカメラウーマンと聞いていたので、つっこんでみた。

「ハハハ・・・、いえいえ、そこはプロですから、カメラを持てば違いますよ。いくらでも頑張れるんです。それに私は三脚を使いますから、ハハハ・・・」

「なるほど・・・、でも最近はデジタルだから、昔よりだいぶカメラは軽くなったでしょうね?」

「そうですよ、随分軽くなりました。だけどね、性能は勿論ですが、重くてもわざと大きなカメラを使うんです。だって、どんなに機能が優れていても、素人と同じ小さなカメラだと、プロらしく見えないでしょ。

(なんだ、俺らの持ってるカメラと変らないじゃないか。)と思われたら癪ですから。

(さすがプロだ、道具が違う)・・・そう思ってもらうのも大事なんですよ。
やはり見た目も、大事にしないとですね、ハハハ・・・。」

うーん、なるほどと思いました。

いえ、誤解しないで頂きたいのですが、これは決して見掛け倒しを良しとする趣旨の会話ではないのです。
プロならば、心構えは全ての方面で油断なく、まんべんなく怠らないようにという教えと、私は理解しました。

コックさんはなぜか大きな白い帽子をかぶります。
オーケストラの指揮者も、菜箸で代用せず、それらしい指揮棒を使います。
お坊さんも、ジャージーで来てお経を上げられたら、ありがたみが無くなる様な気がします。

プロなら、プロの気構えを抜かりなく。

・・・やっぱり、見かけも大事だということですよね!
  
うーむ、アロハシャツ着ているどこかの獣医さんに教えてやらないと・・・
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