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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ホノルル研修その3

加温して温めた状態で黄色い羽毛に包まれた冷凍ひよこを、コモドドラゴンの大き目の浅い食器に入れました。

「カンカンカン」

キーパーが音をたてて知らせると彼らには伝わるのでしょう。オリの奥の物陰に潜んでいたオオトカゲは、ニョキっと顔を出すとすぐに丸太を乗り越えて、体を左右に揺すりながら小走りで出てきます。

先端が二つに割れた舌をピラピラさせながら食器に近づきます。美味しい獲物かどうか、臭いをさぐっているのでしょうか。こっちを見ては茶褐色の首を左右にふらいふらりと揺らし、食器に顔を向けてはピラピラさせ、そのうちやおら決心したように食器に頭を突っ込むとガツガツとひよこを食べ始めました。

「わあ、こんなに激しい食べ方ができるのか!」

のそのそした動きしか見ることの少ない爬虫類でしたから、攻撃的な食べ方が新鮮でした。

生息個体数が少なくなったコモドドラゴンは、特にホノルル動物園では繁殖に努力しているようです。

「メスばかりの群れしか居ないところでは、なんとオスがいないままメスだけで有精卵を産むことが出来る珍しい生物だ」ということで、最近も科学誌にその報告が掲載されていたと、聞きました。

さて一晩寝ないで、機内で映画ばかり見ていたマル子とカメ子は、朝ホノルルに到着してそのまま動物園を見せていただいたので、昼下がりになりそろそろネジが切れてきたようです。

「お腹が空きました。」

カメ子がつぶやき始めます。一度言い始めると、カメ子はしつこく繰り返すのがわかっています。

「ちょっと何か食べないと、だって朝飛行機で食べたっきりで、お昼何も口にしてないから・・・」

妻がそう言うので、触れ合い動物コーナーの近くにある休憩所で腰掛けました。売店の前に立ち、各自メニュー看板を睨みながらウンウン唸りながら迷い、ハンバーガーやおにぎりや飲み物を注文し、どんな物が出されるかワクワクして待つのでした。
たいてい、たっぷりのフライドポテトが、付いて来ます。

強風が吹きつけ、時折霧雨がさらさらっと撫でるように通り過ぎます。
鳩や小鳥が寄ってきては、おこぼれを狙ってうろつきます。
動物園での平和なひと時です。
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