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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

育ちが知れる

お茶の時間です。
スタッフが飼主さんから頂いたお菓子の箱を開きました。ショートケーキが入っていました。

「わあ、すごい。どれにする?」

「うーん、・・・、えーとね、・・・」

スタッフ達はここぞ肝心とばかりに集中してケーキを見つめます。

「そっちは、なあに?」

「これはね、えーと、アップルゼリーかな??」

根が卑しいのだろう。人の食べてる物が気になるらしく、互いに味を聞いている。

ふと、思い出したようにタマエが話し始める。

「あっ、私ですね、ある日家に帰ったらおやつにゼリーがあったんですよ。それもローヤルゼリー入りのゼリーなんです。

一つ食べたらすごく美味しかったんでもう一個食べて、それでも欲しくなって『美味しい、美味しい、』と言いながら、また一個食べたんですよ。

そしたらお母さんが二階から降りてきて、

『あんた、なん食べよるん! それ、カブトムシの餌よ!』

って言われました。ヘヘヘ、カブトムシの餌って、すごく美味しいですよ。」

すぐにマル子が

「私もカメの餌ドーナッツを食べたことがあるけど、あれは不思議な味やったね。
まずくはないけど、美味しくもなかった。」

再び、タマエも

「あー、わたしもある! あれ、カメの餌ドーナッツ、あれはまあまあいけますよね。」

それまで黙って聞いていたカメ子は、急いで自分の体験談を思い巡らしたんだろう、ここで口を挟む。

「私もですね、子供の頃家に帰ったら
 『あっ! コヒーゼリーがある!』
と思って急いでパクッと食べたんです。
そしたら、『オエッ!』ときて吐いちゃいました。

それは料理用にお母さんがとっていたニコゴリでした。
ニコゴリってわかりますか? 魚を炊いた時に、表面に浮かんできて冷えると固まるゼリーのようなものですけど。」

まったく口卑しい連中です。
いったい、まともな物を口にせず育ったんでしょうかね。

私はそんな失敗は決してしません。
私が覚えているのは、子供の頃、家に来た大工さんが鉋(かんな)がけをしているのをじっと見ていて、

(これはきっとかつお節だ。こんなにかつお節がたくさん出て来る!)

と思っていて、夕方、大工さんが帰った後でこっそり作業場に行き、鉋屑を口に入れてけど、

「うへっ! ぺっ、ぺっ。かつお節じゃないや!」

と、知った思い出くらいです。

どうですか、マル子たちより、ましでしょ!

え? もっと悪い・・・ですか?
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