SSブログ

聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

無駄足を大切に

「子犬が、吐き戻して食欲が無くなったんですが・・」

生後三か月くらいのプードルが連れて来られました。

子犬の吐き戻しと聞くと、実は獣医はドキッとします。というのも昔パルボウイルスが流行って、可愛い子犬たちがばたばた死んで行った時を、思い出してしまうからです。

最近は、あまりパルボの流行は見なくなりましたが、それでも(もしや!)と、緊張します。

さて、可愛い子犬を診察台に上げ、順序通りに体重、体温を計測し、異物を飲み込んだりしてないか詳しく聞いて、検便をします。

顕微鏡を覗くと、鞭毛を持った運動性の細菌が目立ちました。

(これが原因でいいのかな? 他にも何か原因は隠れてないかな?)

パルボウイルス検査は陰性でした。

「細菌性腸炎の疑いがあります。それと寒さがストレスになっているかもしれません。」

自宅には小さなお子さんもおられるようなので、ゆっくり休ませるようお願いしました。

数日後電話がかかります。
「便は良くなって来て、元気もありますが、もうこのまま様子を見てて良いでしょうか?」

「良いですよ」と、言いたいのですが、そう返事する根拠がありません。

「なるべく連れておいでください。検便をして確認しましょうか。」

飼主さんはすぐ連れてきてくださいました。

で、検便をしたら、なんと今度は大量のコクシジウム寄生虫が見つかりました。

(前回はまったくいなかったのに、何でだろう?)

丸い目玉焼きのような虫体がごろごろしているのです。

不意をつかれたような気分でした。
(驚いたなあ・・・)
こういうこともあるので、やはり最後まで確認が必要です。

何もなくて良し。何か見つかれば、それもまた良しです。
無駄足になるかもしれないことを承知で行うことが、手厚い獣医療に結びつくのでしょう。

どんな分野でも、おそらくそうなのでしょうけど・・・。
--------
トップへ戻る
nice!(0) 

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。