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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

歯が危ない!

病院猫の畏咲(いさく)です。

歯って、大事ですよね。歯は健康の入り口ですもんね。
皆さんのペットは、歯石がたまったり、歯が揺れたりしていませんか?

先日のことです。

マダムYは歯が沁みるので、歯医者に行ったそうです。

「どこがいいかしら?」

「あのね、私は昔から、別府のどこそこに決めてるのよ。」

知り合いに勧められて、ちょっと遠いけど、行ってみたそうです。

診察室に入ってからでした。

「うーん、マダム。これはひどい。これは大変だ。もう私の手には負えない。マダム、磨きすぎですよ! 歯の磨きすぎ!

歯ぐきが擦られて、傷んで、痩せ細っています。こんなになるまで磨いたらいけません。

ほら、ここが見えますか? 歯根が浮き出ているでしょ、本当はこの辺りが、歯ぐきになるはずなんだけど・・・。

うーん、これはちょっとねえ・・・。
マダム、あなた、歯科大に行った方がいいよ。」

そのマダムは「おおごとだ、大変だ、手遅れだ」と、散々聞かされて、可哀想に会計の時は、涙ぐんでいました。

「本日の会計は、七百九十円になります。」

「はい・・・、千円からお願いします。」

「お大事に・・・」

背中を小刻みに震わせながら出て行くマダムを見て、受付の若い女の子は、先生を呼んで何か耳打ちをしたのです。

「先生、先生、今の患者さん真っ青になって泣いていましたが、大丈夫ですか?あんなに言われて、絶望しているんじゃ・・・」

マダムが駐車場に降りた時に、慌てて先生が追いかけてきたそうです。

「マダム、マダム、ちょっとお待ちなさい。大丈夫ですよ。そんなに泣かなくていいから。
歯が全部抜け落ちたりしないから。治療を受ければいいんだから。

さあ、そんなに、泣かないで。」

先生は一生懸命、元気づけたそうです。

「はい、ううう・・・、はい・・」

どんな仕事も、大変ですね。
言い過ぎれば、悲観的になられるし、ちゃんと言わなければ、本気で治療しないかもしれないし。

なお、後日談ですが、そのマダムは意を決して出かけた大学病院では、診察の後、磨き方の指導を受けて歯磨きだけもらって帰されたそうです。

「こんなのでいいの? あれだけ脅されたのは、何だったの?」

と、マダムは憤慨していましたから、どうやら元気が出てきたようです。

めでたし、めでたし。
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