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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

献血評論家

「先生、『英国王のスピーチ』という映画、観たことありますか?」

「うん? いいや、知らない。」

お茶の時間に、カメ子が言いました。

「この前、また、献血に行って来たんですが、その時何気なく選んで観てたら、おもしろかったのです。献血が終了したから三分の一くらいしか見れなかったので、今度、自分で借りて観ようかなと思います。」

カメ子はよく献血に行く。聞いた所では、もう四十回ぐらい行ってるらしいから、そろそろ赤十字の名誉会員の称号くらいもらっても良さそうだ。

「献血か、ずっと昔は、ジュースを一本、もらってたわね。」

三十年前献血したことのある年配のヨンヨンが言う。

「それなんですけどね、献血センターのサービスは、浮き沈みの歴史があるんですよ。」

カメ子がまた、話し始める。

「ちょっと前には、献血ルームにはエンゼルパイのような高めのお菓子やチョコレートがたくさん置かれていた時代があったんですが、最近はまた、下降線気味で、簡単な物しかなくなりました。」

念のためお断りしますが、献血は、奉仕の精神で参加するものですから、カメ子は付帯サービスうんぬんで批評する気は毛頭ないのです。

ただ、赤十字に長くボランティアしてきた体験から、自称献血評論家として、情報提供してくれただけです。

「それでですね、献血中に、『看護士さんですか?』と聞かれたので、『いいえ、動物の看護士です』って、答えたんですよ。

そしたら、担当の方が献血を見守りながら、こんな話をされました。

「うちの14歳になるダックスが、最近失踪していなくなったんです。心配したんですが、まる二日たって、突然庭に戻ってきたんですよ。
そんなこともあるんですね。」

って。

「そうか、14歳でよく戻って来れたね。」

高齢の犬だから、戻ってきて良かった。梅雨時に行き倒れになったら、危ないし。

でも、私の子供の頃、高級犬以外はほとんど夜は放し飼いで、朝にはいつでも戻っていました。

あの頃は、何かの理由で犬が要らなくなると、捨てに行く時代でした。
自転車に乗せて何kmも離れた町に、父が捨てに行ったことがありましたが、たいがいすぐ帰ってきてました。
自動車に乗せて、少々遠くへ行っても、やっぱり戻ってきてました。

犬が帰って来ない時は、犬捕りに捕まった時、・・・そういう時代でした。すっかり忘れていた遠い日々がよみがえります。

最近のように、犬が脱走して帰れなくなるなんて、余り考えられないことでした。

ううむ、昔の犬は、逞しかったんですね。

「それに比べ、最近の若い犬は・・・・」

なんて、渋谷のハチ公は思っているかもしれませんね。
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