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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

日曜日の腹痛

「昨日の休みにですね、わたし、珍しくお腹を下したんですよ!」

お茶の時間です。マル子が急に、そんなことを言う。

「へえ、珍しいね、どうしたん? マル子がお腹壊したなら、よっぽど猛毒だね?」

マル子の唯一の自慢は、何を食べてもたいがい大丈夫な事です。まず賞味期限を気にしたことはなく、一年過ぎてても、とりあえず食べて様子を見ます。

ある日食べようとした一年前の糸こんにゃくは、料理してみて、う〜ん、これはちょっと無理かもと思って、止めたそうです。

生まれてからウン十数年、医者にかかったのは二度だけです。

「はい、めったにないから、あれれ、お腹が・・・と思ってですね。」

「何か、心当たりはないの?」

「はい、いろいろあるんですが、昨日は朝、うちの犬のフードに混ぜて与える肉を用意してたんですが、それがなんとなく臭かったんですよ。それで、犬にやるのを止めたんですが、あの時よく手を洗わないまま、あとで物を食べたように思うんです。

それから、亀の水を換えたんです。

そのあと、朝ごはんに「焼いて食べるパン」というのがあるんですが、フランクフルト入りのそのパンが、生焼けで食べてしまったんです。

それから歯医者に行ったんですが、そこでタンクの水を二杯飲んで・・・

そしたら十時ごろからちょっと腹具合が悪くなって、お昼十二時くらいから頻繁にトイレに駆け込むようになったんです。

正露丸を飲んだり、妹の整腸剤を飲んだりしたんですが、効かなくて。

なのに、

「せっかくの日曜日だから、ちょっと車をだしてくれん?」

って、母と妹に頼まれて、近所に出かけないといけなくなって、百円均一に行ったり、ドラッグストアに行ったり、スーパーに行ったり、生鮮食料ストアに行ったりして、毎回その一か所一か所でトイレを借りて、運転してました。」

「ひどい家族やなあ、マル子の家族は。それで、どうしたの?」

「夜の七時ごろまで続いたので、これは、生半可な薬じゃだめと思って、犬用の下痢止めを、体重30〜40kg用で、飲んで、家にあった抗生物質も飲んだら、それからおさまりました。」

結局原因はわからないまま、お腹は治ったらしい。

病院の仕事は、とても丁寧なのだが、なぜか自分の体は、治癒力を信じる信仰心が人一倍強いようです。

スタッフ間では、(マル子が死ぬ時は、賞味期限切れに当たって死ぬね。)と、噂されている。

夏場は食中毒が出やすいし、皆さんも、お気をつけください。
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