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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

子供の頃飼った犬

親戚に刑事をしている従兄弟が一人いる。暴力団担当をしているらしい。

子供の頃は杵築の田舎で、従兄弟達とは必ず正月、盆などに会って遊んだ仲でした。あの頃彼は鼻をたらし一見頭の回転は鈍そうに見えたのですが、彼の通知表は5ばかりで、2と3が並んでいる私なんかよりずっと優秀でした。

彼の頭は丸刈りで、目と目がちょっと離れているので、彼が繁華街をパトロールするとアシカが逃げ出したのと間違われるんじゃないかと心配して言うと、大きなお世話だと叱られました。

そんな彼が、ある日私に電話をかけてきました。

「ねえねえ、昔、あんたんとこのボクサーを、うちに譲ってもらったことがあったろう。

アテーナという名前で。
俺さ、あの犬が大好きでね、犬を飼えたのが嬉しくて、夏休みになると犬小屋で一緒に寝てたんだよね。

中学校で給食に牛乳が出てたけど、俺学校に一升瓶を持って行って、女子の飲み残しの牛乳をもらって、アテーナにやってたんだよ。

俺さ、今でもそのアテーナの夢を見るんだよ。

でもね、あの犬、最後どうなったか、覚えてないんだ。
急にいなくなったような記憶があるんだけど。
あれ、あんたのとこに戻ったかな?

え? 戻ってない? そうか、・・・どうなったんだっけな。
それがわからないのが、どうも気になるんだ。

とにかく、今でもよく夢に出てくるんだよ、ハハハ・・・。」

もう四十数年近く前の話です。
彼の記憶の深いところ、大事な所で、思い出に刻まれているのでしょう。

動物と暮らすということは、私たちが普段意識している以上に実は大きな影響力をもたらしていて、人生の土台の一部分を構成しているのかもしれません。

いえ、きっとそうなのです。
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