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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

午前様

昨日は手術で遅くなりました。

一週間前から食欲が無くなった小型犬が、嘔吐を繰り返すのです。
水を飲んでは大量に吐き出します。

薬で二日間対処していましたが、どうも腸閉塞の疑いがあります。
ところがバリウムを飲ませてレントゲンを撮りながら観察したら、バリウムは流れるのです。閉塞でもなさそうです。

お腹を開けるべきか、迷いました。
特に、なるべくお腹を切りたくないという飼主さんの意向がありましたので逡巡しましたが、やはり開けたほうが良いと言う状況のため、手術に踏み切りました。

そうすると、出てきました。プラスチック片が布切れと絡み付いて胃に引っかかっていました。

問題はその後です。
布切れの一部が小腸に運ばれ、その時スーッと一筋の糸をほどきながら進みます。

ところがしばらくして、それ以上糸はほどけなくなり、布切れは引き止められてストップ、胃と小腸とで「糸電話」するように糸が緊張し、十二指腸を切り裂き始めていたのです。

細い木綿糸が、どこまであるか?あちこち切開しながら糸をとり、異物を取り、それで時間がかかりました。

夜の十二時過ぎた頃、私は帰り際、マル子に言いました。

「遅くなったね。近所の人から『また、あそこのお嬢さんは、夜遊びして帰ってきよる。』と、言われるね。」

マル子の家周辺は、ちょっぴり田舎の人付き合いが残っています。

「へへへ、いえ、そうなんですよ。この前も近所のおばさんが父に、『おたくも、遅いですね。うちの娘も、よう飲みに行って、遅く帰ってきますもんね。』って、言ったんです。

それで、父は、(うちの子は、飲みに行って遅いんじゃない!仕事なんです!)と、言いたかったけど、黙ってたらしいです。フフフ・・・」

人間、生きていくと、いろいろ言われるもんですね。

まあ、それも、いいか!
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