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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

アウトドア

「どうやら散歩中にニワトリの骨を飲み込んだようにある。」

ビーグルのコウちゃんを連れてムッシュNがおいでになりました。

「あらら、いつのことですか? 」

「うん、昨日やけど、今日は元気がなくて、小屋から出てこんと。食欲もないし・・・」

診察台に上がったコウちゃんは、しかしいつもの元気さがありそうです。

「レントゲンを撮ってみましょう。」

大きな体で撮影台に寝るのを嫌がるコウちゃんを、なんとかなだめすかしながら、お腹を撮りました。

「ムッシュ、骨らしいものはありませんね。」

試しにコウちゃんにドッグフードをあげると、喜んで食べた。

「ありゃ、おかしいなあ? 食べたかい。家じゃ何も食べんかったけど・・・・。」

その日は経過観察で連れて帰りましたが、翌日、やっぱり元気が無いとおいでになりました。

それならと血液検査をしましたが、貧血も炎症反応もなく、肝臓も腎臓も、膵臓もすべて正常、何もひっかかりません。

「ムッシュ、二、三日病院でお預かりしましょう。観察させてください。」

こうしてコウちゃんは入院になりましたが、その日から元気で大きな声で吠え、フードもいくらでも食べます。
便も立派なものを出しました。

「ムッシュ、どうも元気すぎます。理由がわからないのですが、あの、もしかしたら、外で飼われているから、寒くて元気がないのかもしれませんよ。」

「はあ? いやあ、うちは車庫に犬小屋を置いて、中に毛布やらタオルやら敷いてやってますからね、暖かいはずですが。」

「そうですね、随分いいですよね。でも、もし御自分がそこで毎晩寝るとしたら、やはり冬は寒さが身にこたえると思いますが・・・。」

「そうやろか・・・」

結局病院に入院した三日間はずっと元気でした。ウオンウオン吠えて、犬舎がいっぺんに賑やかになりました。食欲も旺盛です。

こうして観察期間が過ぎ、はっきりした証拠がつかめないまま、再度自宅に帰り、暖かい所で様子を見てもらうようにしました。

コウちゃんももうすぐ9歳です。高齢犬の仲間入りです。いくら毛布を重ねても、雪のちらつく外で寝るのは、体力も消耗するのではないか・・・。

昔は犬が外で寝るのは当たり前でしたが、その分寿命も短かったはずです。

最近は、家の中で飼われる犬がほとんどになってきたので、寒さにやられると言う状況がめったになくなり、診断に苦慮します。

小屋に電気マットを敷いてもらったコウちゃんは、さて、今度こそ元気を取り戻すでしょうか?
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