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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

僕の夢

モンタちゃんは13歳をすぎた中型犬です。白と茶色のきれいな毛色で、庭でも散歩先でも行く先々で人気者です。

「ウオンウオン!」

「あっ、モンタちゃんだ!」

すぐ子供たちが駆け寄ってきます。

でも元気が良すぎて、最近も塀を壊して外へ飛び出し、マダムを困らせています。

ある日、マダムが出勤のため家を出た時です。こっそりモンタちゃんは後をつけてきました。

バス停でマダムが待っていると、モンタちゃんに気がつきます。

「あっ! モンタ、駄目じゃないの。家に帰りなさい。」

シュンとするモンタちゃん。

バスが来ました。

ドアが開き、マダムがステップをあがって吊り革につかまります。

「あ、あ、あ、」

周りの人達の様子がおかしいので、マダムがふと後ろを振り返ると、なんとモンタちゃんが一緒にバスに乗っているのでした。

マダムの後ろで、ちょこんとお座りしています。

「モンタ、あんた、駄目よ!」

運転手さんがバックミラーから、じっと見ています。

「これ、これ、降りなさい。家に帰りなさい。」

マダムに叱られ、モンタちゃんは残念そうにバスを降りました。

バスが発射します。マダムが窓から見ると、モンタちゃんはバス停にお座りしてバスを見送っていました。

後で聞いた話では、近所の人がモンタちゃんを家に連れ帰ってくれたそうです。

モンタちゃんは、とてもバスに乗りたかったのでしょう。いっぺん乗ってみたいと思っていたのでしょう。

私たちがいっぺん、ヘリコブターに乗ってみたいと思うように、

私たちがいっぺん、気球に乗ってみたいと思うように、

私たちが、いっぺん、シベリア鉄道に乗ってみたいと思うように、

(いいなあ、おかあさんは、バスに乗れていいなあ・・・・)

って思いながら、いつも出勤を見送っていたのかもしれません。

動物だって、

いろいろ夢を膨らませながら、生きているんです!!
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