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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

自分を情けないと思う時

一日の仕事を終え、カメ子が着替えをして帰る準備をしています。夜も十時をとっくにまわりました。

ホッとしながら荷物を整理し、抱えたバッグをしげしげ見ながら、カメ子が言います。

「へへ・・、これ安いんですけど、斜め掛けで一番使いやすいんです。この前天神へ行った時ですね、もっといいバッグないかな?って探して、(あっ、これいいや!)と思ってよく見たら、これと同じだったりしました。ハハハ・・・」

「うん、それって、時々あるよね。服なんか、同じようなもの買うし。」

「先生、聞いて下さい。私、めっちゃ悔しかったのは、テレビガイドを買った時です。

(あっ、新しいのがある!)と思って買って帰ったら、なんと同じテレビガイドが部屋のテーブルの上にあったんです。

二百円くらいの本ですが、いえ、問題は金額じゃないんです。

自分が情けないというか、ドジというか、何で買ったことを覚えてなかったのか、それが悔しいんです。

あれは、自分で自分が情けなかったですね。」

カメ子はそう言いながら、帰って行った。

カメ子の後姿を見送りながら、私は励ました。

(大丈夫だよ、カメ子、それぐらいなら。

 ぺ子は、地下鉄駅まで自転車で行ったことを忘れて帰って来て、玄関に自転車が無いのに気がついて、留守中に盗られた、盗られたって、騒いでいたから。)
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