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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

運のいいケース

「運がいい」にも、いろいろあります。

先日の事、 キャナルシティでガンダムか何かの子供向けショーがあるというので、娘が2歳と6歳の鼻の垂れた幼児を抱えて、バスに乗って40分かけて出かけました。

ところが方向音痴なものですから、違うバスに乗ってしまい、博多駅行きに着いたのです。

「ありゃ、間違えっちゃった!」

どっと、疲れが出ます。

ところがよく見ると、ショーは博多駅で あっていました。どうやらキャナルであると思っていたのがそもそもの間違いで、もともと博多駅になっていたようです。

運がいいと言うか、頼りないと言うか・・・

さて、もう一つ、運のいい話し。

年齢不詳のキジ猫のオスが、ムッシュB家にふらりとやって来ました。

「まあ、こんなに痩せて可哀想。さあ、食べなさい。」

マダムはすっかり同情してフードをあげると、パクパク食べます。ところが、世話をしてやろうと思ったのもつかの間、すぐにその猫は、先住猫たちに咬みついて、喧嘩を吹っかけるのです。そのため、おとなしい猫たちが、次から次に怪我をしてしまいました。

「あらまあ、・・・これじゃあ、置いておけないわね。可哀想だけど、ねえ、あなたどこかに連れて行ってもらおうかしら。」

美しくも恐い奥さんに逆らえず、ムッシュはキジ猫を車に乗せて、遠くの愛宕山に捨てに行ったのです。

「ごめんよ、キジ君。でも、お前が自分で蒔いた種だから仕方ないぜ。もっと、良い家を探しなよ。」

・・・・・ブオオオーン

そう言うと、ムッシュはドアをバタンと閉めて、自分の気持ちを振り切るようにアクセルを強く踏み込み、その場を走り去ったのです。

こうしてムッシュ家に平和が戻ったのですが、それから四日目でした。ある朝、遠くへ捨てたはずのキジ猫が忽然とムッシュ家に戻ってきたのです。

「ギョギョッ! あ、あんたは・・・、もしかしたら、キジ君!?」

マダムはギクッとしました。

「これは大変! きっと捨てられたのを根に持って、復讐しに来たんだわ。まあ、どうしましょ! ねえ、あなた、あなた、どこにいるの!? ちょっと、助けて、襲われる!キャー・・・」

しかし、そう思ったのは間違い。いえ、戻ってきたのはキジ君に間違いないのですが、捨てられたのがショックだったのでしょうか?恨みを晴らすためではなく、心を入れ替えて戻って来たのでした。というのもキジ君、不思議なことにその日からピタッと喧嘩をやめ、他の猫の前では頭を低くして伏せ込み、平身低頭するようになったのです。

人間だって猫だって、苦労を重ねると角がとれて、丸くなることが大切なのでしょう。

「あら、まあ、どうしたことかしら。あなた、反省したのね。そうなの、じゃあ、ここに居ていいわよ 。あら、でもちょっと待って、あなた、足が痛いの?どこか怪我したの?明日病院に行こうね。」

こうしてキジ君は、ムッシュ家に晴れて入会を許され、メンバーシップを貰ったのでした。運がいい猫ですよね。

次の日、キジ君を連れて、ムッシュ夫妻が来院されました。それから治療のため入院していますが、反省がまだ足りないのか、入院態度はじゃっかん悪いようです。

キジ君、そんなに怒って猫パンチばかり繰り出していると、病院も追い出されるかもよ!?

 


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