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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

口が痺れていても

お茶の時間です。カメ子がこう話し始めました。

「先生、私、昨日歯医者に行ってきました。三時半ごろ麻酔をうって処置したので、ドクターから『夜の七時くらいまでは物を食べないでくださいって言われたんです。それで私、食事をしないでずっと待っていたんですけど、口のしびれは六時になっても全然変わらないんです。

そろそろお腹も空いてきたし、(あ、この調子じゃあ、七時になってもたいして変わらないわね。)と思って、もう食べようと思って食べ始めたら、なるほどやっぱり口の端からポロポロこぼしちゃうんです。

それでこうやって、口の端を指で押さえながら、食事しましたよ。ほら、ここを塞いで、首を傾けながら、エヘヘヘヘ・・・・」

「まったく、カメ子のやることと言ったら・・・。先生のいうことを聞かずに、困った患者さんだね。」

「あ、それでですね、私の隣りで治療を受けてた患者さんの会話が聞こえたんですけど、ドクターが『うーん、これは歯根がボロボロですね。〇〇さん、もう、抜くしかないですねえ…』と事務的に言ったら、

『えっ!? 先生、私はいつも歯の手入れにこちらに通っていたのに、どうしてそんなことになるのですか? なぜもっと早く分からなかったんですか?そんなに悪いんですか?』と、女性の方が、問い詰めるように聞いたんですよ。

そしたらドクターは急に言葉を丁寧に話し始めて、『ああ・・・、あの、それはですね、・・・こういった病変は、患者さん本人が自覚症状を言ってくださって、右のこのあたりが痛いとか、左のここが疼くとか、そう言われてからそこのレントゲンを撮って初めてわかるんですよ。外からただ見てもわからないからですね・・・。』って一生懸命説明されていました。

私は隣りに座っていて、(ああ、歯医者さんも大変だな)って、思いました。」

「うーむ・・、そうだね。なるほど、歯医者さんも、苦労があるね。やっぱり気を遣う職業なんだね。どんな仕事も、殿様商売じゃやれないんだよね。」

カメ子の話しを聞きながら、改めて私はそう思ったのでした。

それにしてもカメ子ときたら、口が痺れているのに、もう少し食べるのを我慢できるようにはならないのかしら・・・?

 


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