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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

お墓でも、気兼ねを

愛犬が元気なのは嬉しいのですが、吠え声や排せつ物には近所に気を使います。

さて、その日も元気な愛犬、パグのドラゴ君を連れて、ムッシュHがおいでになりました。

「耳の掃除と、ノミの予防をしてもらおう」

椅子に飛び乗ったり、走り回ったり、愛嬌一杯のドラゴ君です。

診察台のドラゴ君を撫でながら、ムッシュが言われました。

「やっと女房の49日が終わってね。田舎にも墓があるんやけど、今度こっちに造ろうと思ってね。」

奥様は昨年、頭にできた腫瘍のため、亡くなられました。それこそドラゴをとても大事にされて、いつもアレルギーの治療やお手入れに連れて来られていた優しい奥様でした。

 「それでね、お寺さんに相談したんよ。女房の墓を造るついでに、隣りに、将来大事な犬の墓も造ってやりたいんやけど、いいやろかって。

そしたら、和尚さんは 『うん、それは構わんと思うよ。・・・だけどね、隣りの使用者が何と言うかね。中には嫌がる人もいるからねえ・・・。』ってね。

 そう言って、ムッシュは黙り込まれました。

奥様を失い、ようやく心の整理をしてお墓に葬り、やっと歩き始めようとされている時でしたが、奥様を喜ばせることが出来ないのがとても残念そうでした。

和尚さんも、言葉を選びながら、慎重に話されたと思います。

どうやら犬と暮らすのは、お墓でも隣りに気兼ねがいるようですね。

 


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