穏やかな性格は夫ゆずり
「こんにちわ、チップを迎えに来ました。」
重い腎不全のため点滴に通院しているワンちゃん、八月は容体が重かったのですが、ここ数日はちょっぴり持ち直してくれており、嬉しいことです。
「おとなしい子ですね。」
「そうなんですよ、とっても」
じっとしているチップちゃんに感心して、ぺ子が点滴中の様子を伝えると、マダムもうなずく。
「本当におとなしくてですね、主人に瓜二つなんです。主人もとっても穏やかで、全然攻撃的なところがなくて、もの静かな性格です。私は、この子を主人に躾けてもらって本当に良かったと思っています。私じゃなくて良かった。」
いえいえ、マダムも静かで穏やかな方ですが、きっとそれに輪をかけて、温厚な御主人なのでしょう。
「もうチップがいつどうなるかわからないので、今までは別室で寝せてたけど、可哀想だから一緒に夜も休んであげようって、主人が居間でチップと一緒に寝てるんですよ。」
ふーん、やっぱり家の雰囲気が犬にも影響を及ぼすんだなと、私は改めて思いました。
そして点滴が終わる頃、マル子がチップの所へ行った時です。
「あれえ、チップ、なんでチューブを咥えてるの!?」
なんと、今までいつもおとなしかったチップが、自分の体につけられた点滴チューブをガッチリ咥えて、ムギューと引っ張っているのです。
「あれえ、チップちゃん、だめだよ、噛みついたらだめ!」
だんだん元気になって来たのか、今までしなかったことを、チップは始めました。
治療が続いて、ストレスがたまって来たか、あるいは今までにない元気が出てきたか・・・。
もしかしたら、「おとなしい」と言うキャラクターを長年期待されてきたことに、ついに反抗を始めたか?
おとなしかった子が突然反抗する・・・、人間の世界でだって、時々聞きますからね。
でもやっぱりここは、「元気になってきた証拠」と考えたいのですが、
・・・チップちゃん、チューブで遊ぼうという余裕が出てきたとしたら、嬉しいなあ。