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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

沖縄の捨て犬

「えっ、先生たちが、そんなことまでされているんですか!?」

話しを聞いて、びっくりしました。正月休みを利用して、沖縄に行った時です。日曜日、那覇で知り合いの先生を訪ねて行った教会で、聞きました。

「この写真は、ある日『里親を探してください』と、教会の前に捨てられていたシーズーです。目が悪くて、年よりでした。

可哀想に、どうしよう・・・。考えあぐねていました。そしたらね、ちょうどあるご老人が、『犬を飼いたいのですが、私も年なので、子犬から飼ったらその犬を残して死ぬかもしれない。どこかに年をとった犬はいませんかね?』と、相談があったんですよ。その人に、紹介しましたよ。ハハハ・・・

こっちの写真ね、若いビーグルだったよ。『吠えるから飼えない』って、近所のスーパーに繋がれて捨てられててね。でも良い子でした。ちょうど犬が欲しいと言う人が現れた時に、貰ってもらえてよかった。」

「先生、一番下の写真はプードルですね。アプリコットのこんな犬も?」

「はい、プードルです。この犬はね、雨の中、ブルブル震えていて、じっと立ってたんですよ。それで方々に『保護しています!』って、写真入りでポスター作って貼って回ってね。でも、何日も飼い主が見つからなかったんですよ。

どうしたのかな、捨てられたのかな?って、そのまま二週間ぐらい世話をしてたんです。そしたらね、ある日小学生が通りかかった時、『あっ、ボクこの犬、知っている。見たことある!あそこの家だよ!』って叫んでね。

その子に教えてもらって家を訪ねて行くと、『いなくなったけど、まあ、そのうち帰って来るだろうと思って、ほおっていました。』って。

ハハハ・・・、そんなことがあった犬たちの写真ですよ。」

ご年配の牧師夫妻が、そう言って笑いながら話してくださった。

週に一度は辺野古の新飛行場埋め立て反対に、座り込みに行き、また週に一度はホームレスの方々の安否確認に夜の街を回っておられる60を過ぎた先生。その上、こうして捨てられたり、置き去りにされた犬の世話も、笑いながらされている。

(すごいなあ・・・)と、私は思わずにはいられなかった。

獣医の私でも、なかなかすすんでは、可哀想な捨てられ犬の世話をできないのに・・・。

さて、そう思いながら、仕事が始まったばかりの今朝のことです。スタッフが朝、いきなりこう言いました。

「先生、玄関の前に、犬が繋がれてますよ。知りませんでした?えーと、手紙が入っています。

何々?『家庭の事情で、飼えなくなりました。勝手なお願いで申し訳ありませんが、里親を探してください。ぜひお願いします。』ですって。先生、どうします?三歳ですよ。それにまあ、唸ってます。私を睨んでます。咬みつきそうですよ。」

(むむむ・・・、新年早々、こんなことに・・・)

私はさっそく試されているらしい。

匿名での勝手な捨て犬、行為の是非はともかく、今回ばかりは沖縄の牧師夫妻の器量に学べ!と天から言われているようなタイミングでした。


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