外灯の取り換え
「あ、またタマが切れてるみたい!」
夜、仕事を終えて帰る時です。病院の西側の壁につけた防犯灯、蛍光灯の三台のうち真ん中の蛍光灯がチカチカしていました。
「取り替えんと、いけんね。いつか明るい時に。」
「あ、本当ですね。取り替えないとですね。」
チラチラする蛍光灯を見上げながらカメ子も頷いて、自転車で帰って行った。
それから二週間、真冬の寒風に吹かれながら、私は脚立に上がってタマを取り換える気に、なかなかなれない。
もちろんカメ子もマル子も、忘れているふりをしつつ日を過ごすうちに、蛍光灯は切れてもう点かなくなった。
と、そんなある日、「こんにちわ!電気屋です!」と、馴染みの元気なお兄さんがチラシを持ってあいさつに来られた。
「おっ、ちょうど良い所に。すみません、ちょっと、お願いが・・・。おい、カメ子、取り換え用の蛍光灯を持っておいで、ほらほら、早く、ちょっと、手伝ってもらおう。」
こうして辛い作業を遁れようとした私は、電気屋のお兄さんとカメ子に蛍光灯を一本持たせ、木枯らしの吹く用水路そばの壁へ、行ってもらったのだった。
蜘蛛の巣がついて古びた蛍光灯のカバー、そのネジを上も下も外したら、防水ゴムがあるのでそれもキュルキュルはずす。
「すみません、足場が悪いでしょ。それに、軒にぎりぎりの所だから、ネジをすごく外しにくいでしょ。死んだ虫なんかも、いるし・・・。」
「ハハハ、そうですね、虫ならまだいいけど、時々カベチョロなんかが飛び出してくると、ギョッとしますよ、ハハハ・・・」
「そうなんですよ、だから私、取り替えないといけないと思いつつ、それに寒いし、やだなあって、つい伸ばし伸ばしになって・・・」
「ハハハ、そうでしたか。どうぞ、もう中へ入っていていいですよ。こっちはやっときますから・・・」
・・・・・・
「ヘヘヘ・・・、先生、というわけで、私帰ってきちゃった。外はもうすぐ終わるみたいですよ・・・」
「おやおや、なんでもしゃべってくるんだね、まあ、いいか、お疲れさん・・・。」
電気屋さんには、ついでにもう一か所、切れていた裏口の照明も取り替えてもらった。
外を見ると早い冬の夕暮れ迫り、今にも雪がチラつきそうです。