健闘の日々を覚えて
雪之丞(仮名)が久し振りに来院したのは、まだ寒さが続く三月の初めのことでした。
雪之丞は銀色のチンチラ猫の雄で、16歳です。
食欲が無いということでしたが、調べると尿素窒素が161mg、クレアチニンが8.1mgと、重度の尿毒症でした。
これはとても危ないということで、数日入院してもらい治療を続けた所、随分回復してくれました。
しかし、状態は慢性腎不全でしたので、数日点滴を休むとすぐにスルスルと検査値が上昇してきたのです。
マダムTと相談し、それからはちょくちょく通院していただく事になりました。
ただし、どうも人嫌いのようで、来るたびにスタッフに触られる事も、点滴される事も、彼は大いに抵抗してくれました。
私たちがが分厚い皮の手袋をして触っても、その上から咬まれて鋭い牙が貫通するので、スタッフは手から何度も血を流し毎回格闘でした。
改めてカルテをひっくり返すと、合計115回ほど点滴に通われた記録が残っていました。
「おい、雪、そろそろ覚えてくれよ、そんなに怒るなよ。ね、点滴してもらうと、気分が良くなるでしょ!?」
そう語りかけてはみるものの、情が伝わるはずもなく、毎回が格闘でした。
そしてようやく点滴が終わりケージに帰されると、腹がたって仕方ないかのようにその捌け口にかトラのようにガツガツとキャットフードを食べるのが日課でした。
このように長い間頑張った雪之丞も、秋の夜が冷え込むころ再び尿毒症で倒れ、夜間救急病院で突然の痙攣を上手に止めてもらいましたが、次の日穏やかに当院で息を引き取りました。
「あっぱれな猫だったな、お前は・・・」
私は彼の寝顔にそう語りかけました。苦しい中を、飼い主さんと共に最後までよく頑張ったと思います。
8ヵ月、毎回格闘しながら点滴を続けたので、今となってはなんだか「好敵手」のような親しみを感じるのですが、果たして彼もそう思ってくれたかは、定かでありません。
とにかく言いたいことは、これまでの闘病を振り返り、健闘をたたえてやりたいということなのです。
さて、猫がこんなに誇り高く生きるなら、
私も見習って、もう少し爽やかに生きたいものです・・・。
雪之丞は銀色のチンチラ猫の雄で、16歳です。
食欲が無いということでしたが、調べると尿素窒素が161mg、クレアチニンが8.1mgと、重度の尿毒症でした。
これはとても危ないということで、数日入院してもらい治療を続けた所、随分回復してくれました。
しかし、状態は慢性腎不全でしたので、数日点滴を休むとすぐにスルスルと検査値が上昇してきたのです。
マダムTと相談し、それからはちょくちょく通院していただく事になりました。
ただし、どうも人嫌いのようで、来るたびにスタッフに触られる事も、点滴される事も、彼は大いに抵抗してくれました。
私たちがが分厚い皮の手袋をして触っても、その上から咬まれて鋭い牙が貫通するので、スタッフは手から何度も血を流し毎回格闘でした。
改めてカルテをひっくり返すと、合計115回ほど点滴に通われた記録が残っていました。
「おい、雪、そろそろ覚えてくれよ、そんなに怒るなよ。ね、点滴してもらうと、気分が良くなるでしょ!?」
そう語りかけてはみるものの、情が伝わるはずもなく、毎回が格闘でした。
そしてようやく点滴が終わりケージに帰されると、腹がたって仕方ないかのようにその捌け口にかトラのようにガツガツとキャットフードを食べるのが日課でした。
このように長い間頑張った雪之丞も、秋の夜が冷え込むころ再び尿毒症で倒れ、夜間救急病院で突然の痙攣を上手に止めてもらいましたが、次の日穏やかに当院で息を引き取りました。
「あっぱれな猫だったな、お前は・・・」
私は彼の寝顔にそう語りかけました。苦しい中を、飼い主さんと共に最後までよく頑張ったと思います。
8ヵ月、毎回格闘しながら点滴を続けたので、今となってはなんだか「好敵手」のような親しみを感じるのですが、果たして彼もそう思ってくれたかは、定かでありません。
とにかく言いたいことは、これまでの闘病を振り返り、健闘をたたえてやりたいということなのです。
さて、猫がこんなに誇り高く生きるなら、
私も見習って、もう少し爽やかに生きたいものです・・・。
2009-10-29 15:00
nice!(0)