SSブログ

聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

アレルギー性角膜潰瘍

「あっ!忘れてた! 目薬を入れなくちゃ。 ヘヘヘ・・・、私ですね、数日前から右眼が痛くて、それで昨日眼科に行ったんですよ。そしたら角膜潰瘍だって言われたんです。」

患者さんから依頼された薬の調合をしている時、カメ子が急にそんなことを言い出した。そう言えば、彼女の右眼はすこし閉じかげんだ。

「えっ!角膜潰瘍? そりゃ、大変だよ。十分な治療をしないと。後でひどい事にならないとも限らないからねえ。
でも、なんで潰瘍なんかできたのかな? 何かで傷ついたのかなあ?」

カメ子がのんきな顔をしてしているので、私は心配になった。

「いえ、私の場合、潰瘍が角膜の内眼角側に縦にできてるんですけど、先生はこういう時はアレルギー性のことが多いと言うんです。何のアレルギーかはわかりませんが・・・」

「ふーん、アレルギー性か、人ではそういう潰瘍があるのかなあ・・・。」

「それで、しばらくコンタクトをやめて、目薬を2種類、3時間おきに入れないといけないんです。だけど、すぐ忘れちゃうんです。」

「じゃあ、みんなに頼んどくといいよ。次の点眼は何時だって。そうしたら誰かが気がついて教えてくれるよ。」

「そうですかねえ。それじゃあ今6時ですけど、二種類目のを、30分後に点眼するんですが・・・」

「そうか、了解! きっと忘れないよ。」

・・・・・・・・・・・・

(しかし、7時半ごろ)

「あっ! また忘れてた。やっぱり忘れちゃうわ。」

「うっ、そうだね。ぼくも思い出せなかった・・・。」

やっぱり、忘れる可能性があることは、大概忘れてしまうのだ。

カメ子は慌ててポケットから目薬を取り出した。
そして点眼しながら口を開け、変な声で叫んだ。

「あっ、間違えた! 左目に入れてしまった!」
トップへ戻る
nice!(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。