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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

正月の小鳥の世話

「私正月当番の時ね、小鳥の餌を換えてたら開けた時にパッと飛び出してきて肘に止まったの。
それですぐ捕まえたんだけど、指を咬まれて血が出ちゃった。
今年の初出血よ、フフフ・・・」

お茶の時間、マル子が自分の人差し指をさすりながらそんなことを言った。
ちなみに小鳥というのは、病院で飼育しているコザクラインコのことです。

コザクラインコは体は小さくても、嘴の力はすごい。
まず咬まれたら、人の指ならは深く切れてしまうだろう。

それにしても、『今年の初出血よ、フフフ』と言う以上は、すでに今後も、二度目三度目の出血を覚悟しているらしい。

さすがマル子です。

「わぁ! やっぱりマル子さんだからとっさに捕まえられるんですね。きっと私だったら、瞬間あせってばかりで、すぐ手が出ないかもしれません。」

猫娘が感心するように言う。

「いや、逃がさない方がいいんだよ。危ないからね。」

「はい、でも、部屋の戸はもちろん閉めてましたから。」

自信たっぷりのマル子の目を見ていると、彼女はどうやらコザクラにわざと逃げるスキを与えて少し遊んでやったようにも思われた。


「あっ、小鳥と言えば、休み中にお預かりしていたインコ、あの子は喋ってましたよ。

ヘヘヘ、『むかしむかし・・・』って。」

カメ子によれば、正月当番の日にブルーのセキセイインコが、そんなふうに喋るのを聞いたと言う。

「へえ、おもしろいねえ、どこまで喋れるのかな?」

「それが、ラジオの周波数を合わせるときのように、音声が途切れ途切れに聞こえる感じで、よくわからなかったんです。

ただ、『むかしむかし・・・』のところだけは、はっきりわかりましたけど。

それでお迎えの時、私が飼い主さんにお尋ねしたら、

『むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に・・・』

とか、喋れるそうなんですが・・・。」

「ふーん、たいしたもんだねえ。」

インコが昔話を喋れるのは、感心するが、もしかしたら最近の子供にはよく通じないかもしれない。

なにしろ、
「おじいさんは山へ芝刈りに」と言うと、
「山にゴルフ場があったの?」

と、聞かれたり、

「川へ洗濯に」と言うと
「川が汚れるからそれは駄目!」

と言われるらしいから・・・。

さて、そんなこと言われたら、インコちゃんどうする?
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