用水路の銀貨
マル子の家のすぐ傍に、小さな水路が流れている。普段はチョロチョロと奇麗な水が少し、いわゆる農業用水路です。
幅は1mちょっとぐらいでしょうか、深さは子供でも飛び降りれるくらいの水路です。
「マル子、その水路にねえ、お金が落ちてるのよ。多分お金だと思うんだけど。」
ある日、マル子はお母さんからそんな話を聞いた。
「へえ、お金が!?」
「そうなのよ。銀色に光ってる丸い物が見えるの、あれ、いくらのコインかしら?」
マル子はすぐに外に駆け出して、水路まで見に行った。
「本当だ! 流れの中に、ぴかぴか光ってる。」
歩道の手すりに身を乗り出してしばらくじっと眼を凝らして見つめていたが、果たして何円の硬貨なのかはわからない。
「本当ね、お母さん。硬貨が落ちてるね。」
「そうなのよ、数日前に気がついたんだけどね。いつも銀色に光っていて、流れの中でキラキラしてるのよ。」
「ふーん・・・」
・・・・・・・・・
それから何日かたって、私はマル子に聞いた。
「ねえ、水路の銀貨、あれ、どうなった?拾ってみた?」
「いえ、それがですね、この前見に行ったらもう無くなってました。」
「えっ、無くなってたの?」
「はい、あの後降った雨で流されたんでしょうかね・・・」
「それとも、誰かが降りて拾ったか?」
「フフフ・・・そうかもしれませんねえ。」
「そうか、正体はわからずじまいか・・・。」
たかが水路に沈んだコインの話ではありますが、
しかし人生には、消えてしまった後でちょっぴり気にかかる・・・もう少し大事な出来事も時々ありますね。
胸をドキドキさせながら遠くから離れて見ているだけで、時が流れていく。
そして、永遠に戻らない。
あの時、ちょっと手を伸ばしてたらとか、
ほんのちょっぴり勇気を出して、あの人に声をかけていたらとか、
・・・思う事が。
幅は1mちょっとぐらいでしょうか、深さは子供でも飛び降りれるくらいの水路です。
「マル子、その水路にねえ、お金が落ちてるのよ。多分お金だと思うんだけど。」
ある日、マル子はお母さんからそんな話を聞いた。
「へえ、お金が!?」
「そうなのよ。銀色に光ってる丸い物が見えるの、あれ、いくらのコインかしら?」
マル子はすぐに外に駆け出して、水路まで見に行った。
「本当だ! 流れの中に、ぴかぴか光ってる。」
歩道の手すりに身を乗り出してしばらくじっと眼を凝らして見つめていたが、果たして何円の硬貨なのかはわからない。
「本当ね、お母さん。硬貨が落ちてるね。」
「そうなのよ、数日前に気がついたんだけどね。いつも銀色に光っていて、流れの中でキラキラしてるのよ。」
「ふーん・・・」
・・・・・・・・・
それから何日かたって、私はマル子に聞いた。
「ねえ、水路の銀貨、あれ、どうなった?拾ってみた?」
「いえ、それがですね、この前見に行ったらもう無くなってました。」
「えっ、無くなってたの?」
「はい、あの後降った雨で流されたんでしょうかね・・・」
「それとも、誰かが降りて拾ったか?」
「フフフ・・・そうかもしれませんねえ。」
「そうか、正体はわからずじまいか・・・。」
たかが水路に沈んだコインの話ではありますが、
しかし人生には、消えてしまった後でちょっぴり気にかかる・・・もう少し大事な出来事も時々ありますね。
胸をドキドキさせながら遠くから離れて見ているだけで、時が流れていく。
そして、永遠に戻らない。
あの時、ちょっと手を伸ばしてたらとか、
ほんのちょっぴり勇気を出して、あの人に声をかけていたらとか、
・・・思う事が。
2010-01-28 15:00
nice!(0)