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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

口蹄疫

「うわっ! 口、口蹄疫が発生してる!!」

二日前、新聞を開いた時、その一面に載っている文字にびっくりしました。
口蹄疫、古い、懐かしい病名です。
この度は宮崎県の都農の畜産農家で発生とのことでした。

口蹄疫は、獣医なら誰でも知っている非常に恐ろしい伝染病です。どうして恐ろしいのかというと、伝播力がとても強力で、一旦発生すると封じ込めるのが大変困難だからです。

致死率は低くても、家畜の生産性ががた落ちし、畜産農家には大打撃を与えます。

病気の特徴は偶蹄類の口や蹄(ひづめ)、乳房あたりに水泡・ビランを生じたり、発熱、歩行障害を起こしたりします。
日本では、もう何十年も発生していなかったのではないか?と、思うのですが・・・。

「おい、大丈夫か!? 忙しいだろ?」

私は次の日、宮崎で大動物診療に従事しているクラスメートに電話を入れてみました。

「うん? おお、久し振りやね。いや、僕は今は都城だから、管轄が違うけど、宮崎の家保(家畜保健所)の方は、たいへんやろう。N君があっちにおるけどね、

え? いやいや、発生した農家の牛だけ殺処分しているけど、まだ近隣も全て処分とはならないよ。

外国では半径何kmの牛を全て殺す国もあるけど、日本は移動禁止はとっても殺処分は農場ごとに、しらみつぶしにやっていくから・・・。」

「ふーん、そうか。僕はてっきり宮崎中の牛が、処分されるんじゃないかと、予想したけど。」

「うーん、まだそこまではいってないみたい。なんだ、それで心配して電話をくれたんか?」

「まあ、忙しくして目が回ってないかと思ってね・・様子伺いよ。」

「ありがとう、でもそういうわけで、僕の担当の地区はまだそれほどは・・・。」

「そうか、いずれにしろ真面目に働けよ。学生時代みたいに、仕事に出かける振りして、パチンコに寄るんじゃないぞ!!」

「アホ、そんな暇はないよ、こっちからも応援を送ってるしね。通勤に一時間以上かかっているし。」

「ハハハ・・・、そうか、じゃあ、体に気をつけろよ。」

学生時代はソフトボールがうまくて、あとは寝ている事が多い奴だったように記憶しているが、まあ、宮崎の畜産の運命が彼らの手に託されているのだから、背後で応援してやりたい。

できるだけ被害が広がらないようにと、神様に祈る。
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