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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

歌舞伎町の青春

「ハハハ・・・、わたしですか?・・・そうですね、若い頃は自由奔放に遊んで、無茶苦茶したかもしれませんね。」

ヨークシャーテリアのブンちゃんを連れて来られたムッシュが、目を細めてそう言われた。
ムッシュの若い頃と言うのは、もう40年くらい前の話だと思います。

「東京へ出てね、新宿で暮らしてたんですよ、ハハハ、歌舞伎町です、はい。怪しげなビルの中にある某店で、住み込みで置いてもらってね、夜働いて、昼は武蔵境のほうにある大学に通いました。

お店の経営者は中国人で、同伴喫茶だったんですよ、そこでボーイをしたり、暴力団が来たら警察に急いで走ったり・・・、恐かったですよ。
ビルの中にはキャバレーがあったし、すぐ隣は末広亭でね。

父親がいなかったから、自活しないといけないし・・・、授業は大体出たけど、いやあ代返も頼んだけどね。でも経済だから、理系ほどじゃないからね。

ただ、不思議と簿記だけはできてね、友人に教えてあげたりしたんですよ、何故だろうね、自分に合ってたのかなあ?ハハハ・・・。

経営コンサルタントの資格をとって、それから航空管制官の資格も取ってね。

え?若い頃の羽目をはずした話? それは言えないなあ。

これでも家に帰ると真面目で厳格な父親で通っているから、親父の威厳が無くなって子供たちに示しがつかなくなるから、ハハハ・・・それは言えません。」

ムッシュからは、おもしろそうな肝心な所をはぐらかされてしまったが、あの時代、歌舞伎町で生計を立てながら大学に通ったのなら、相当な苦労があったのは間違いないだろう。

今は悠々自適にされている多くの方々が、皆さんそれぞれの苦労談や青春物語を持っていることを、改めて感じたのでした。
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