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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

治療風景

カムリちゃん、変わりないかな?」

ダックスのカムリちゃん(仮名)がリンパ腫の治療に来られました。抗癌剤を使い始めて、もう2ヶ月になります。

「はい、大丈夫のようです。」

ムッシュは抱いていたカムリちゃんを診察台に降ろしながら、そう言われた。マダムも傍で、微笑む。

「食欲はありますか?」

「はい、よく食べています。異常なくらいあります。」

「ハハハ・・・、そうですか。・・・うちの奥さんといっしょだな。」

「え? ハハハ、じゃあうちの家内もいっしょです。」

ムッシュが話を合わせてくれる。

「まあ、なんですって! あなた、今、なんか言ったわね。」

それでマダムがチラッとご主人を睨む。

そんな話をしながら、和やかに今週もカムリちゃんの血液検査をする。けれどそれはある意味緊張が続くリンパ腫の治療を、リラックスして進めていこうとする気遣いでもある。

現在では、犬のリンパ腫は75%の症例で、抗癌剤がよく効くといわれています。随分と良好な治療効果が得られるようになりました。
それでも、薬の副作用の発現にも用心しながら進めなければなりません。

「白血球数は多すぎるくらいありますね。貧血はみられません。
大丈夫そうですから、今日も治療を行います。では、もう一度お呼びするまでお待ち下さい。」

「わんわんわん!」

病院に来るとぐるぐる回って張り切るカムリちゃんが吠えて答える。
元気は上々。

私たちは、手早く点滴の準備を進めた。体重をもとに薬用量の計算をする。それからカムリちゃんを預かる。
カムリちゃんはムッシュといると元気だが、私たちがお預かりすると急にションボリとして、おとなしくなります。

スタッフが一人付き添いながら約一時間、点滴を行いました。
時々動き出そうとしますが、スタッフがあやすと、「仕方がないなあ」といった顔つきで、我慢してくれます。

ようやく最後の薬液まで、体に流れ込んでくれました。

「さあ、お待たせしました、お返ししますね。それと、家での飲み薬はもう終了します。注射だけ続けますから、次回は二週間後においで下さい。お疲れ様でした。」

カムリちゃんはまた張り切って、ムッシュの腕の中でワンワンと吠え出す。

そんな元気なカムリちゃんの姿は、私たちスタッフのエネルギーにもなります。

いつまでもはしゃぎまわる、カムリちゃんでありますように。
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