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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

スタッフの仲

当院には看護実習生が時々来てくれますが、彼らが感想としてよく残してくれる言葉の中に、「スタッフ同士が仲が良いですね」と、言われる。

果たしてそうかどうか・・・

ある日、食欲低下のプードルが入院してきた。血液検査をしたが、夏の疲れか、お孫さんたちの襲来にくたびれたか、原因がよくわからない。

とりあえず入院点滴となった。
ところが点滴が進むと、とたんに動きが活発になり、ガリガリガリと穴でも掘るように前足を動かし始める。

「これこれ、そんなにはしゃぎまわると、点滴がはずれちゃうよ!おとなしくしなさい!」

無論そんな言葉が通用するはずも無い。

「先生!大変です!ジョイントがはずれて、血が逆流しています!」

夜9時近く、カメ子の呼び声に私は走り出す。すぐに処置をし、今度はもっとしっかり接続して、興奮しないよう入院室の電気を消した。

(さあ、おとなしくしてくれるかなあ?)

静かにドアを閉めた後、私は廊下にたたずみドアに耳をぴたっとつけて、プードルがまた暴れ出さないか、様子を探っていた。

10秒、20秒・・・あまりバタバタと跳ね回る音は聞こえてこない。
(大丈夫かな?)

と、思いながら耳をドアにつけている私と、待合室の受付から心配そうに見ているカメ子の視線が合った。

「大丈夫みたい・・・」

と、私が言おうとしたとき、カメ子が先に言った。

「先生、先生の体臭がドアについちゃいますから、いつまでも顔を密着させないで下さい。」

「むむむ・・・」

・・・こんな現実を、実習生は見ていないのです。
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