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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

置き去りされたけど

ある夜のこと、ダンボールに猫を入れて、マダムとご家族がおいでになった。

「初めての猫です。先月から世話をしているんですが、実は近所で飼われていた猫なんです。もう・・13歳ぐらいになると思います。

その家のおばあちゃんが飼っていたんですが、亡くなられて・・・、それでお子さん達が家を処分して引っ越していかれたんです。

その時、この猫を置いて行かれて・・・。

それでうちで餌をやって少しづつ慣らせて、家に置いているんです。猫は外に出たがるんですが、このまま放せばすぐ、猫は元の家に帰ろうとするんです。でもそこはもう別の新しい家族が入居されてて、戻るわけには行かないんです。

戻っても、生活できないですよねえ?

だから、うちに置いて、しばらく世話をしてこのまま飼ってあげようかと相談したんですが、くしゃみと鼻水が多いのが気になって・・・。」

そういう相談の内容でした。

それにしても、感心しました。

優しいご家族です。
亡くなったおばあちゃんと、常々親しかったのかどうかは聞きませんでしたが、こんなふうに置き去りにされた猫の面倒を見てあげようと思う方が、やはり居られるんですね。

ところがこの猫の、怒りんぼうで、気の荒いこと。

「少しづつ、やっと慣れてきたのに病院に連れてきて、また当分怒るだろうね!フフフ・・・」

ご家族はそう言って、笑っておられました。

麻酔をかけて、時間が長くなりましたがなるべく丁寧に検査もしました。老猫の境遇を思ったとき、私たちにも嬉しい診察でした。
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