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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

二十五年の間

先日私にエアメールが届きました。

(誰だろう? 海外に手紙をくれるような知り合いはいないけど・・・)

そう思いながら封筒の片隅の名前を見ると、訪問のたびに何度も見学でお世話になったホノルルの獣医、ドクターKからでした。

急いで開くと一枚の便箋に平仮名でこう書かれていました。

「ふちがみさん、いかがですか。ぼくはKです。
 ことしの一月にびょういんをうりました。僕の体が、ようんじゅうねんのあいだにえらくなってきました。

 二十五ねんのあいだ、いっかいでもやすみとらなかったからもっとえらくなりました。
 ・・・・」

ドクターは郊外の住宅地で動物病院を開業し40年間働いたそうです。結婚をせず、特に後半の25年間は信じられないことですが、一度も休みをとらなかったそうですから、畏れ入ります。

地下一階地上二階建ての100坪はありそうな広い院内には、いつも動物が溢れていました。
置き去りにされた動物達も、翼が折れて飛べなくなった鳩も、飼われていました。
日曜日も世話が大変だろうというのは容易に想像がつきました。

もう60代の半ばとなり、そろそろ病院を売ってリタイヤしたいと思うのは当然でしょう。

最高の技術を有して、獣医学の先端を切り開いてくださる先生方には勿論、賞賛の言葉を惜しみませんが、

このように働き抜いた先生にも、人として尊敬を抱かずにはおれません。
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