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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

男の子の思いに感じて

「先生、このまえですね、ちょっと嬉しい事があったんですよ。」

一日の仕事を終えて帰り支度をしていた時です。廊下でカメ子がそんなことを言います。

「へえ、嬉しい事が!?」

「はい、何があったと思いますか?」

(何が?・・・と言われてもねえ・・・カメ子のちょっと嬉しい事?・・・。いい男には巡り合いそうもないし・・・、はて、財布でも拾ったかな?)

「うーん、わからない。何?」

「実はですね、お昼休みの頃なんですけど、高校生くらいの男の子が一人で入って来たんですよ。そして、

『近所に足を怪我したみたいなパグ犬がウロウロしているのを見つけたので、助けてもらえませんか?』

と言うんです。私は、

『職場を抜け出すわけには行かないけど、もしあなたがここまで連れてこれるなら、出来る範囲で手当てしたり、飼主を捜す手助けをしたりできるかもしれませんよ、

でも、十分気をつけてね。抱き上げようとして咬まれたりすることが多いから、無理はしないで、もし出来ないならあきらめて。』

って、言ったんです。そしてダンボールの箱を渡したんですよ。そしたら、十五分くらいしてかなあ、その男の子が戻ってきたんです。そして、

『僕が犬を触っていたら、通りかかったおばさんが「あんた、その犬をどうかすると?その犬は昔から足を怪我しとるよ。近くの家の犬やから、大丈夫よ。」と、言われました。

それで、このダンボール返します。どうも、ありがとうございました。』

って、言うんです。私、なんとなく嬉しかったです。」

「そうか、高校生くらいの男の子が通りかかりにびっこをひいている犬を見かけて、助けようか、どうしようか、あれこれ考えて考えてくれたのか。病院まで相談に来て、一人ででも、何かしてあげようと思ったんだね。」

わたしもその話を聞いて、カメ子と同じようになんとなく嬉しくなりました。
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