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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ドラ吉の思い出

病院猫の畏咲です。
今週は院長がホノルル動物園研修の為不在、診療部門はお休みにさせていただきました。
知らずに病院に来られた方々にはご迷惑をおかけしました。

普段たいして役にたたない院長ですが、動物病院としてはさすがに居ないと困る事があるようです。

居ないよりは居た方がいい、院長です。

そうそう、こんなこともありました。院長の身内のところの猫のドラ吉が、随分弱っていたのですよ。
ドラ吉はお人よしで愛想のいい奴でしたが、一年前にオシッコが詰まり、にっちもさっちもいかなくなりました。

「苦しい・・・、苦しい・・・」

あの時は点滴しながら三日間注射器でオシッコを抜いて、何度も尿道開通処置を試みましたがすでに癒着していたのでしょう、オシッコは二度と出てきません。

「オシッコがしたい・・・。」

ドラ吉の我慢も限界です。

こうなると後は尿道の途中に皮膚と直通する穴を開けてやるか、そうでなければ膀胱と皮膚が直通する穴を開けてやる必要があります。

「どうしようか?」

だけど問題があるんです。
どちらの手術も、細菌が入り易かったり、開口する排尿部が癒合閉鎖し易かったりで、大変だと聞いています。

そうそう、おいらもしょっちゅうオシッコのトラブルが出やすく、院長から食事制限を命じられていますがね。
なに、ちょっと位なら、美味しいもの食べたって平気ですよ。

ケージの端からちょいと差し入れしてくれるものがあったら、夢中でかぶりついていますよ。

だけど、なんだねえ、
うるさい院長がいつも口をはさむんだ。今日もさっそくこう言ってた。

「おい、畏咲、食べ物に、気をつけろ。健康をそこなうぞ。

 教会で聞いた話だが、ある調査によると、心臓のバイパス手術を受けるくらい健康を損ねた人たちも、その90%は食生活を変えないそうだぞ。医者から『このままでは、あなた死にますよ』と言われても、それでもどうしても変らないんだそうだ。

どうしてなんだろうねえ・・・。」と。

いやまったく、おいらも返す言葉がない。
やっぱり、好きなもんは好きなんだよな。止められないよな。

人も動物もどうやったら、生まれ変われるのかねえ。

話は戻るけど、だけどドラ吉は気の毒だったね。あいつは立派だった。食事を制限して、その上人口尿道チューブを入れて、それから一年間ずっと元気にしてたけど、

この冬の寒さがこたえたのかねえ、先月から急に容態が悪くなって、段々細くなって、
おいらを置いて、先に逝っちゃったなあ・・・

院長も研修から帰ってきてそれを聞いて、がっくりしてましたよ。

それじゃあ皆さん、皆さんも冬の寒さに気をつけてね。
もうすぐ春ですからね。
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