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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

春の朝

「先生、今日はわたし、朝から大変だったんですよ。」

夕方の事です。検査室にモップをかけながら、マル子がそう言いました。今週のマル子は、遅番でした。当院は夜が9時まで受付して遅いので、朝早い出勤と、午後からの出勤に分かれるのです。

「へえ、何があったの?」

私はパソコンのキーを打ちながら、彼女に尋ねます。

「はい、朝ですね、私が居間に掃除機をかけていたんです。ごちゃごちゃしてるんですが、テーブルの置かれている隅々まで奥にも伸ばすようにして吸い込みをかけていたら、急に「ウオーン」って、掃除機の音が変になったんです。

(あれ、詰まったかな?)

と、思ったんですが、ゴトゴトといったと思ったらまた吸い込みだしたんです。

(何だったんだろう?)

私嫌な予感がして、スイッチを切ってゴミ出し口をあけて傾けたら、黒いウンチが3個コロコロと転がり出てきたんです。

『あー、やられた!』

しまったと思ったんですが、あれはきっとスマイルのウンチです。(スマイルというのは14歳を過ぎた黒いイングリッシュコッカースパニエルの雄で、マル子の愛犬です。)

スマイルは腎臓のお薬を飲んでいるでしょう。だから、ウンチは真っ黒なんです。

それで多分やっちゃったかな?と思ってタービンブラシを引っくり返したら、案の定ウンチをかき回してて糞だらけです。

ホースを覗くとやっぱり黒くなって、ウンチ臭くて、しかもまだ一個入ってたんです。

それで私、朝から掃除機全部洗う羽目になって、大変だったんです。」

「ハハハ・・・、そうか、そりゃあおおごとだったねえ」

こうしてマル子の穏やかだったはずの春の朝は一転、糞闘となったようです。
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