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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ゴーヤ

「先生、今度ゴーヤを植えたんですよ。みんなは今忙しそうだから、先生、見てください。」

早番の仕事が上がり、帰り支度のときにカメ子が携帯の写真を差し出した。

「ふーん・・・・」

写真には、ベランダに置かれた小さなプランターが写っており、よく見ると緑色の小さなゴーヤの苗が二株植わっている。

「朝はしゅんと萎れていたんですが、水をやってまたシャキッとなりました。これからネットを買ってきてグリーンカーテンの準備をしてやらないといけないんですが、ベランダは住民共有の緊急避難路でしょう。だから、邪魔にならないよう、ネットは上にまず紐を張ってそれに結んで、下は水を入れたペットボトルで安定させようと思います。」

(ベランダは緊急避難路か・・・、なるほど、そうだな、カメ子は院長の言うことは聞かないけど、順法精神はしっかりしているなあ・・・)

「安い店を探してプランターも土も苗も揃えたので、一式で千二百円くらいでできました。でも、可愛いんですよ。わたし写真もとって、ゴーヤの成長記録を残そうかと思っています。」

カメ子はニコニコと楽しそうに話す。

「うん、ゴーヤ日記をつけるといいね。そうだ、苗に名前をつけるといいよ、ゴー之介とゴー姫とか・・・。」

しかし私の提案には返事をせず、カメ子は自分の計画を話し続ける。

「ペットボトルで水をビシャビシャとかけたら萎れたから、今度は優しくジョウロを使わないといけないですね。
あっ!そうだ、 来月の連休の時、どうしよう。実家に帰ろうと思ったけど、水をあげられないわ。」

「ペットのタイマーの水遣りを利用したら?」

「いえ、先生。それがですね、プランターにもタイマーで水遣りが出来る道具が最近は売っているんですよ。」

カメ子はにわか菜園家になって、いろいろ知識を仕込んでいるらしい。
それにしても、農場や大規模な公園ならわかるけど、ベランダ菜園にもタイマー水遣りとは驚きます。

「マル子が実はすでにゴーヤを育てているらしくて、ああしたら失敗したとか、こうしたらいいよとか教えてくれたので、ちょっと心強いです。」

カメ子はいかにもゴーヤの未来が楽しそうだ。今年のカメ子の幸せはひとえにゴーヤにかかっている。

ふん、なるほど。二人でゴーヤブームか・・・。まあ涼しく夏を迎えるには丁度いい趣味だし、実益もあるし、いい事だ。

カメ子、マル子、立派に育てて、想い出の夏にしたまえ!!
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