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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ルリマツリ

「先生、あの・・・、病院の花壇に青い花が咲いていますね。あれはルリマツリだと思うんですが、少し分けてもらえませんか?

挿し木するので、ちょっと2,3本枝をとらせてもらうだけでいいんです。前から捜していたんですが、園芸店にもなかなかないのです。珍しいですよね・・・。」

アブラゼミがジワジワ鳴く七月のお昼頃でした。犬のフードを買いに来られたマダムが、そう言われました。

「えっ? 何ですって?ルリマツリ・・・ですか? へえ、そんな花があるんですか。いえ、知りませんでした。初めて聞く名前ですね。

ええ、どうぞ、持って行ってください。根こそぎ持って行ってください。

花壇は園芸屋さんが、植えてくださったものです。きれいでしょ!」

「あらまあ、先生、名前を聞かれた事はないんですか。フフフ・・・、根こそぎは持っていきませんが、じゃあ枝を少し分けてください。ありがとうございます。」

(ふーん、ルリマツリか。園芸屋さんが聞いたら、喜ぶだろうな。)

知識に乏しくて恥ずかしいのですが、その後で、わたしは「ルリマツリ」を調べてみました。

水色のどちらかといえば清楚な花です。

「五弁花の水色、あるいは白色の花を夏から秋に永く咲かせる。南アフリカ原産で、鉛中毒の解毒に効くとされていることから、学名はプランバーゴ(鉛)カベンシス(喜望峰)という。磯松科」

ほこりまみれの道端に咲く花ですが、見る人は見ているのでした。そばにいる私は、全く気がつかなかったのに。
同じように、毎日の生活の中で、私が気にも留めてない色々なことを、見る人は見ているのだろうと思いました。

花だけに限らず、たとえば何気ない言葉も、立ち居振る舞いも、人への態度も、すべて見る人には見られているのでしょうか。

「へえ、そうでしたっけ・・・」

あとで慌てないように心したいものです。残念ながら教養が伴わなければ、せめて謙虚さだけでも身につけたいものです。

え?今更、 アトノマツリですか?
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花屋のミヤオ

「まあ、ミヤオ君、どうしたの、その頭。血が流れてるじゃないの!」

家に帰ったら、かあちゃんが驚いた顔してそう叫んだ。
おいらはミヤオ、三歳を過ぎた雄猫だ。

「えっ? 血が流れてる? あれ、本当だ。いつの間にか、おでこに垂れてきているぞ。チェッ、さっきあいつに挨拶くれてやった時だな・・・。」

「どうしたの、どこで怪我したの!?」

「なんでもないよ、ちょっとそこで、最近顔を売り出している近所の若い奴と、すれ違っただけさ。」

「まあ大変。すぐに病院に連れて行かなくちゃ。いったいどうしたのよ」

「いいよ、かあちゃん。これぐらい、たいしたことないよ、大丈夫だったら。」

おいらはそう言ったんだけど、母ちゃんは青い顔してお店を閉め、すぐ病院に引っ張っていく。
かあちゃんのお店は花屋だ。
うちにはきれいな花がたくさんあるんだ。
で、かあちゃんはきれいな花束を作るのが上手さ。

まあ、猫にとっては花屋より、魚屋の方がありがたいけどね。それでも、店先でごろごろ喉を鳴らしているだけで、おいらは人気者なんだぜ。

「先生、うちのミヤオが大変です。血だらけで・・・。」

「おっ、出血してますね、どれどれ、何の怪我かな。
 うーむ、マダム、血液が毛にいっぱいついていますが、傷はそんなに大きくはないみたいですよ。

ほら、猫の牙の小さな丸い跡があるから、うん、これはケンカでしょう。」

「まあ、ケンカですか。それじゃあきっと、あの猫だわ。最近よくやって来る猫がいるんですよ、

この前も、うちの中に入ってこようとしてたのよ。先生、猫って、うちの中でも構わず入ってくるものですかしらね。」

「かあちゃん、わかってないなあ、猫には地境も、うちも、ないんだよ。

そこに階段があったり、戸があったり、物があったりするだけさ。誰の持ち物とか、それが家宅侵入になるとか、そんなことは猫はこれっぽっちも心配も遠慮もしないよ。

ほら、かあちゃん、人間だって、蜂が一生懸命作った巣を見ても、遠慮なんかせずにすぐ壊してとっぱらうだろ。あれは、本当は蜂の家なんだよ。

鳥が巣を作ってたって、平気で木を切るじゃないか。お互い、相手の先住権も、占有権も、認め合う事は無理なんだよ。

おい、かあちゃん、聞いてる?」

「もう、こんどあの猫が来たら、どうしようかしら。でも、そんなに悪い猫には見えなかったんだけどなあ。もう、ミヤオはお外に出せないわ。危ないわ。でも、ミヤオはもう少しケンカに強いと思ってたけど、案外弱いのね、」

「それじゃあ、化膿止めを打ちましたから、明日もう一度見せてください。」

「チェッ、おでこに絆創膏を張られちゃったよ。恥ずかしいなあ。それにかあちゃん、おいらはケンカに負けたわけじゃないよ。あいつの方が、深手を負ってるはずだぜ。

おいらの頭はちょっとかすり傷を負っただけさ。こんな大げさな事しなくていいんだよ。」

「マダム、猫エイズをもらうといけないので、明日ワクチンもうちましょう。それじゃあ、お大事に。」

「おいおい、明日も注射かよ。まいったね。かあちゃん、おいら、明日は出かけて夜まで帰って来ないからね。

かあちゃんは仕事に精出して、花を買いに来るお客さんを、喜ばせてあげてよ。」
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気がかり

「先生、あのね、この頃よくリリーちゃんが吐くのよ、ちょっと診てくださいますか?」

小柄なマダムKがおいでになりました。その後から、ご主人が12歳になる真っ白な雌猫の入っタキャリーを、背を曲げ重そうに下げてお出でになりました。

「ふうむ、元気はあるんですね? 食べるけど吐くのですか? 下痢はしてないんですね。・・・」

お話しを聞きながら、並行して血液検査もしました。

白血球数は正常範囲、アミラーゼがちょっと高めぐらいで、大きな異常は見つかりません。
昨年も同じ頃に同じ症状があったので、胃の薬で様子を見てもらうことにしました。

カウンターでお薬を渡していた時です。

「私の腰も良くないんですが、この子より早く死ぬわけにはいかないと思ってね、フフフ・・・。」

マダムは昭和の3年生れだそうです。脊柱に狭窄を持ちなんとか腰痛を治したいけれど、知人の幾人かがやっぱり腰痛だったとかで、あちこち九州の専門病院で手術を受けたけど、あまりいい結果にならなかったとのことで、薬だけで耐えているようです。

「だからね、私は、もうよっぽどでないと、手術はいいのよ。薬を飲んで、我慢しようと思っているの。

でもね、後この子が何年生きるかな? もし私が先だったらどうしよう。この子はどうなるのかな、先生に頼もうかしら・・・なんて考えているんですよ、ホホホ・・・。」

「いいえ、お二人ともまだまだ、長生きしてもらわなければいけませんが、万一の時は、この子を引き取りますから、心配しないでいいですよ。」

安請け合いかもしれないが、私はついそう返事せずにはいられませんでした。

もと銀行の頭取をされていた知人が数人おられるらしいので、私などからすれば本当に雲の上の生活をされているマダムかもしれませんが、人の悩みはやはり人それぞれです。

マダムには、リリーちゃんのことはとても気にかかるようです。
でも、きっとこのリリーちゃんが、御夫妻の健康を支えてもいるのだと思います。

杖をつきながら、タクシーに乗り込まれるご夫妻を見送りながら、私はリリーちゃんの症状がすぐ改善してくれたらいいがと願いました。
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ヒラクチ

「先生、モモ(仮名)はやっぱり、ヒラクチにやられたんでしょうか?」

モモちゃんは白いきれいな猫でした。四日ほど前に突然生じた足の怪我と重度の呼吸困難で早朝、担ぎ込まれてきました。

最初は交通事故かと思って手当てをしていましたが、傷の具合や、出血の様子や、呼吸の具合がどこか違うように思いました。少なくとも、大きな骨折はないのです。

「マダム、もしかしたら、マムシが出る事はありませんか?」

私はそうお尋ねして治療を続けました。マダムのうちは、郊外の自然豊かな所にあります。

モモちゃんは一時は持ち直したかに見え、飼主さんは勿論我々もホッとしたのですが、しかし残念ながらその後容態が急変して亡くなったのです。

それから2日後、マダムが改めて挨拶にお出でくださり、家であったことを話して下さいました。

「え?『ヒラクチ』・・・ですか?」

「はい、ヒラクチはマムシのことです。実はですね、昨日、私がニワトリ小屋に行った時、卵を産む所に蛇が一匹いるのを見つけたんです。

『キャー、お父さん、蛇がいるよ!お父さん!』

主人を呼びに行って、戻って来るまで30秒くらいだったと思うんだけど、その蛇はもういなくなってたんです。
主人は、

『普通の蛇なら30秒ではいなくならん。それはきっとヒラクチやろ、ヒラクチは頭がいいから、人が目を逸らした時にすかさず隠れるから。』
って、言ったんです。

その後で、主人がニワトリ小屋の中を、水入れやら、なにやらいろいろ引っくり返して調べてみたら、まだ中にいたらしいんです。

『やっぱりヒラクチやったぞ。捕まえたぞ。捕まえて半分に切ったから、もう大丈夫や。』って。

先生、ももちゃんは、やっぱりヒラクチに、やられたんでしょうね・・・。」

私はマムシに咬まれた犬は何度も見たことがあるが、大抵ひどい腫れを生じパンパンになり、苦しんだ後、しかし助かることが多かった。
しかし、猫がマムシに咬まれてどうなるかは、経験がなかった。また、あまり書物にも具体的に紹介されていない。

状況証拠にしかすぎないが、もしかしたら本当にマムシだったのかもしれない。

「捕まえて半分に切ったから、」という御主人の言葉の中に、

「モモの仇を討ってやったぞ!」という気持ちが、なんだか込められているような気がしたのは、私の勝手な深読みでしょうか・・・。
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ベランダの侵入者

「先生、私、昨日ですね、大変なことがありました。

今年はゴーヤを育ててるでしょう。そのために土を入れる箱を置いていたんですが、その箱を動かした時に、実はウジが出てきたんです。

『キャーッ!!』

もう、見た瞬間ショックだったんですが、おびただしい数のウジがむくむくと・・・。でも、先生、やつら、足も無いのにごそごそと動くの早いでしょう。

光を浴びるや瞬く間に散り始め、隣のベランダに入り込もうとするので、あわてて捕まえて、すぐゴミに出しました。へへへ・・・」

夜のことです。遅番の仕事を片付けながら、カメ子がそんな事を言う。

「ふーん、君んちのベランダは広いの?」

「いえ、えーと、診察室のドアの線からあそこの台の端までぐらいです。でも、なぜウジが湧くのか、私、わからなかったんですが、栽培用の栄養のいい土が原因としか、他に考えつかないんです。」

「うーむ、はたして土にウジが湧くかなあ?肥料がまかれた畑にウジは湧かないでしょ。彼らは、タンパク質が豊富な所にしか育たないと思うんだけど。」

「はい、でも、肉とかそんなものはないし。私は何回もウジの湧いた倒れた老犬を世話しているから、どんなにウジを片付けても後日どこからともなくハエが孵るのを知ってるので、とにかくすぐに、徹底的に片付けてしまったんですけど、もー、衝撃的でした。」

そうなんです。
動物病院に勤めていたら、毎年暑い夏の時期は、飼主さんがびっくりしてあわてて担ぎ込んできた高齢犬の皮膚に、穴が何か所も開いていて、そこからウジが出入りしているのを手当てすることがある。

今年もすでに、一匹来ています。
それで、カメ子は慌てたのでしょう。

でも、どうして園芸用の土にそんなにウジが湧くのか、私には理由がわかりません。

もしかしたら、本当はカメ子の部屋で湧いているのではないかと思うのですが、

どうかしら?・・・
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咬傷事故

「ねえ、うちの犬が人を咬んじゃったんだけど、どう対処したらいいのかな?」

ある日、遠くに住む親戚から電話がかかった。
彼は事情があって一匹のチワワを引き取っていた。シャイで引っ込み思案の、片手で抱けるくらいの小さな犬である。

その犬は家族には馴染んでいるが、臆病だから普段は家の外へ勝手に出る事はなかった。しかしなぜかその日は飛び出して、たまたま家の前を通りかかった85歳のご婦人に咬みついたらしい。

「もちろんすぐに外科病院に一緒に行ったよ。治療の後、十分お詫びして、ご家族にも謝罪したけど、それで犬のほうの処置はどうしたらいいの?」

「ああ、犬が人を咬んだ時はね、一週間に一回毎週獣医さんの所に診察に行き、狂犬病ではありませんという診断書をもらわないといけないんだ。

合計三回受診して、それから診断書を発行してもらう。それを市の指定の窓口に届けないといけないんだよ。」

犬が人を咬んだりすると、後の事が心配です。
彼も今回は随分気を使ったんじゃないかと思いますが、幸い近所の顔見知りの方だったそうで、不精な私などと違い普段から人付き合いをきちんとしている彼の性格と、苦労の中から磨き上げてきた彼の人徳が幸いし、話し合いは円満に進んだようです。

それでも、もし相手の方がびっくりして転倒して骨折でもしていたら大変だったでしょうが、幸い神様の守りがあったのでしょう。

人生には思いがけない事故や落とし穴が待っていますが、それがわからないのが人生です。
それで私たちはできる限り用心し、綿密に配慮し、何かにつけ自制をするよう習慣付けられています。

しかしそれでも事故が生じてしまいます。

小さな犬の事故も、大きな原発の事故も、生じてしまいます。

神の憐れみと人の謙虚さがなければ、とても事故の処理はできないとつくづく思います。
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お腹の虫

「気をつけないとね、ノラだから突然動き出すよ。」

「はい、そうですね。」

昼休みに入り、私はカメ子とノラ猫の避妊手術の準備にとりかかった。メスの黒猫で一歳くらい。

「先月子どもを生んだので、また生む前に。」と、ムッシュAが腕に咬まれ傷を作りながら捕まえて、ようやく連れて来たノラ猫です。

麻酔をかけ、手術台に載せ、点滴につなぎ、気管チューブをつける。

「さあ、毛刈りと消毒をしようか。」

「はい、・・・あー先生、お腹が空きました。すみません、グーッと、鳴るかもしれませんよ。」

猫の足を手術台に固定しながら、カメ子が言う。

「まったく、よく鳴るお腹だね。恥ずかしくないの?」

「もう、慣れました。平気です。ただ、患者さんの前では、やっぱり恥ずかしいですけどね。」

「患者さんの前では恥ずかしいけど、僕の前では平気だというのか、君は?」

「はい、先生に聞かれてもなんともありません。そのうち、おならもするかもしれませんよ、ハハハ・・・」

(むむ、そこまで言うのか、カメ子は・・・、こいつは、僕を人とは見てないんだな。
同居している犬かサルぐらいにしか、思ってないんだろうよ。)

さて、貧血著しくて、一時は手術を中止しようかと考えたノラ猫ちゃんでしたが、ムッシュが手を怪我してまで連れて来たことでもあり、今回を逃すともう連れてこれないかもしれないとの強い要望で、避妊手術は予定通り行われました。
幸い無事終了し、カメ子のお腹もあまり鳴らないままでした。
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あの頃はまだたくさん・・・

「先生、お久し振りです。」

「はい、こんにちわ」

にっこりして爽やかなマダムが診察室に入って来られる。胸に小さな箱を抱えておられます。

「先生、この猫たちですが、何とか助けてください。」

「子猫ですか?」

診察台の上に箱を載せてもらい中を覗くと、生後一ヶ月くらいだろうか、チビちゃんと呼びたくなるような幼い子猫が四匹も入っていた。

「わ! 四匹ですね・・・」

みんな痩せこけて、栄養状態が悪いのがひと目でわかる。両目に黄色い目やにがべっとりで、目が開けられないままたどたどしく歩き回り、細くミャアミャア鳴いていた。

が、良く見ると、うちの一匹は横たわって口をっくり開けたり閉めたりしている。

「みんな弱ってますね、特にこの一番大きな体の子は、あえぎ呼吸しています。もう、あまり持たないと思いますよ。」

ちょうどその日、職場体験学習で来ていた中学生の女の子二人も、じっと子猫を見つめて心を痛めている様子。

「フフフ、先生は、この前も私が子猫を連れて来たとき、『わっ! 十匹も入っているぞ!』って、言いましたよ。』」

「え? そうですか?・・・」

(このマダムは「久し振りです」とか、「この前も」とか言われるが、いつのことかな?うーむ、思い出せないなあ)

私が必死で記憶を辿っている間も、マダムは話し続ける。

「はい、それから私、犬を連れて来たこともありますが、その時は先生『吉田拓郎みたいな顔をした犬ですね。』と、言いましたよ。
私はおもしろいこと言う先生だなと思ったんです、ハハハ・・・。

でも、その頃は、まだ先生の頭にも髪の毛がたくさんありましたけど、ハハハ・・・。」

(むむむ! 私の薄い頭髪を笑い飛ばすとは・・・、このマダム、かなりできるぞ。

切っ先鋭い振り下ろし、変幻自在の太刀筋、
どうやら情けをかけるより、止めを刺すタイプだな。

陽気なマダムの自由自在の太刀さばきが、佐々木小次郎のツバメ返しなら、

私は櫂(かい)の木刀で相手をしない限り、勝ち目はなさそうだ・・・)

そんなことを考えながら、私は子猫の目やにを一匹一匹ふき取り、点眼し、注射をする。


「この子猫たちも、先生、なんとか助けてくださいよ。」

マダムがニッコリ笑って言う。

「はい、全力で助けるなら、入院させた方がいいですけど、費用が高くなりますよ。でも、ノラを保護しているんでしょ?どうしましょうか?」

「はい、入院はさせられないので、連れて帰ります。できる範囲でしてください。・・・」

自力で食べる力も、飲むそぶりも認められなかったので、私たちはミルクを胃チューブで流し込んだ。
しかし、その準備の間にも、さきほどの重症の子猫が一匹死んでしまった。

落胆している暇もない。マダムも顔色一つ変えず、生きている残りの子猫の処置を続ける。

その後ノミとりスプレーをし、抗菌剤を飲ませたが、これからまだまだ手厚い看護が必要な様子でした。

「じゃあ、頑張ってくださいね。」

「はい、でも先生、うち、今13匹いるんですよ。」

「わあ、たいへんですね、・・・」

さてマダムが帰られて一段落した後、古いカルテを探してみたら、どうやら12年前に来られていた事がわかった。

(そうか、12年前の話しだったのか・・・・)

私は改めてマダムの記憶力に敬意を表するとともに、

まだまだ修行が足りなかったと、太刀打ちできなかったわが身を反省するのでした。
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