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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

咬傷事故

「ねえ、うちの犬が人を咬んじゃったんだけど、どう対処したらいいのかな?」

ある日、遠くに住む親戚から電話がかかった。
彼は事情があって一匹のチワワを引き取っていた。シャイで引っ込み思案の、片手で抱けるくらいの小さな犬である。

その犬は家族には馴染んでいるが、臆病だから普段は家の外へ勝手に出る事はなかった。しかしなぜかその日は飛び出して、たまたま家の前を通りかかった85歳のご婦人に咬みついたらしい。

「もちろんすぐに外科病院に一緒に行ったよ。治療の後、十分お詫びして、ご家族にも謝罪したけど、それで犬のほうの処置はどうしたらいいの?」

「ああ、犬が人を咬んだ時はね、一週間に一回毎週獣医さんの所に診察に行き、狂犬病ではありませんという診断書をもらわないといけないんだ。

合計三回受診して、それから診断書を発行してもらう。それを市の指定の窓口に届けないといけないんだよ。」

犬が人を咬んだりすると、後の事が心配です。
彼も今回は随分気を使ったんじゃないかと思いますが、幸い近所の顔見知りの方だったそうで、不精な私などと違い普段から人付き合いをきちんとしている彼の性格と、苦労の中から磨き上げてきた彼の人徳が幸いし、話し合いは円満に進んだようです。

それでも、もし相手の方がびっくりして転倒して骨折でもしていたら大変だったでしょうが、幸い神様の守りがあったのでしょう。

人生には思いがけない事故や落とし穴が待っていますが、それがわからないのが人生です。
それで私たちはできる限り用心し、綿密に配慮し、何かにつけ自制をするよう習慣付けられています。

しかしそれでも事故が生じてしまいます。

小さな犬の事故も、大きな原発の事故も、生じてしまいます。

神の憐れみと人の謙虚さがなければ、とても事故の処理はできないとつくづく思います。
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