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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ベランダの侵入者

「先生、私、昨日ですね、大変なことがありました。

今年はゴーヤを育ててるでしょう。そのために土を入れる箱を置いていたんですが、その箱を動かした時に、実はウジが出てきたんです。

『キャーッ!!』

もう、見た瞬間ショックだったんですが、おびただしい数のウジがむくむくと・・・。でも、先生、やつら、足も無いのにごそごそと動くの早いでしょう。

光を浴びるや瞬く間に散り始め、隣のベランダに入り込もうとするので、あわてて捕まえて、すぐゴミに出しました。へへへ・・・」

夜のことです。遅番の仕事を片付けながら、カメ子がそんな事を言う。

「ふーん、君んちのベランダは広いの?」

「いえ、えーと、診察室のドアの線からあそこの台の端までぐらいです。でも、なぜウジが湧くのか、私、わからなかったんですが、栽培用の栄養のいい土が原因としか、他に考えつかないんです。」

「うーむ、はたして土にウジが湧くかなあ?肥料がまかれた畑にウジは湧かないでしょ。彼らは、タンパク質が豊富な所にしか育たないと思うんだけど。」

「はい、でも、肉とかそんなものはないし。私は何回もウジの湧いた倒れた老犬を世話しているから、どんなにウジを片付けても後日どこからともなくハエが孵るのを知ってるので、とにかくすぐに、徹底的に片付けてしまったんですけど、もー、衝撃的でした。」

そうなんです。
動物病院に勤めていたら、毎年暑い夏の時期は、飼主さんがびっくりしてあわてて担ぎ込んできた高齢犬の皮膚に、穴が何か所も開いていて、そこからウジが出入りしているのを手当てすることがある。

今年もすでに、一匹来ています。
それで、カメ子は慌てたのでしょう。

でも、どうして園芸用の土にそんなにウジが湧くのか、私には理由がわかりません。

もしかしたら、本当はカメ子の部屋で湧いているのではないかと思うのですが、

どうかしら?・・・
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