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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ラブの捨て犬

「あら、この子猫たちは、どうしたんですか?」

ゴールデンレトリバーのオリバーを飼っているマダムNが薬を取りに来られた時、待合室の子猫を見て聞きました。

「マダム、その子たちは、うちの駐車場に捨てられてたんです。」

三日ほど前のことです。朝スタッフが出勤すると、ダンボールに生後2か月くらいの子猫が4匹詰め込まれて、放置されていました。

「まあ、そうでしたか・・・。そんなことがあるんですか。先生、実は運動公園にもね、早朝ラブラドールの子犬が5匹捨てられてたんですよ。」

「え! ラブが?、純粋のラブラドールですか?」

「はい、そう聞きました。すぐ公園の管理棟に保護されましたが、3か月くらいの大きさでした。」

「ふーん、どうしたんでしょうね。」

「たくさん生まれてしまい、貰い手が全部見つからなくて、困ったんでしょうかね。」

「うーん、そうかもしれませんね。でもすぐ発見してもらって、カラスにやられなくて良かったなあ。」

「こんなたくさん、どうしよう、どこか里親団体に引き取ってもらおうと準備してたそうです。

ところが、『ラブなら私が欲しい』、『私も欲しい・・・』という人が次々に現われて、すぐみんな貰われていったそうですけど。

先生、この頃、また大型犬を飼う人が少し増えているみたいですよ、運動公園にも、最近ラブの子犬が2頭来てますし・・・。」

「へえ、しばらく小型犬に人気が移っていましたが、また大型犬を飼う人が出てきたんですね。」

深夜でしょうか、それとも早朝でしょうか。
人目をはばかって子犬や子猫を運び、遺棄し、立ち去るのにその人はどれだけドキドキしたことでしょう。

責任を放棄することは、人生の実りを放棄することでもあります。投げ捨てた責任は、私たちの人生そのものを、構築していきます。

たとえば飲み終わったペットボトルを一本、草むらに投げ捨てることの延長線上に、これらもあるのかもしれません。

三毛や茶トラや黒白や色んな模様の子猫を見ながら、人の弱さも教えられます。
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