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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ひとひねり

「あれ、先生、酸素が下がってきました。」

猫の避妊手術の時です。そばで血圧を測定していたマル子が言いました。
酸素流量計を見ると、確かにじわりと少し下がっています。

「おっ、ホントだ。ボンベを切り替えて来てくれ。」

「はいっ。」

マル子がボンベのあるところへ駈けて行く。すぐに流量計の値は元の位置にもどります。

「戻りましたか?」

「おう、大丈夫。あとで忘れないよう酸素を注文しておこう。」

当然のことながら、動物病院では酸素は必需品です。予備のボンベがあるので慌てることはありませんが、常に補充が肝要です。

・・・・・・・

「こんにちわ、ボンベの交換に来ました。」

夕方の事、さっそく酸素会社のトラックが入ってきます。そして青年ムッシュが手早くボンベ交換をしてくれました。ところが、

「あれえ? これ、まだ、だいぶ酸素残ってますよ!?」

ムッシュが配管からはずしたボンベを調べて、そう言われます。

「え? 残ってる? おかしいなあ、たしかに流量計は下がったんだけど。」

「いえ、でもかなり残ってますよ、念のため酸素内圧を測ってみましたから、間違いありません。」

「うーん、・・・・そうか、酸素はたっぷり残ってるのに、流量計だけ、下がってきたか・・・」

理由は最初よくわかりませんでしたが、結局、流量計の値が下がってきたのは、最初のバルブの開き方が不十分で、何かの原因で配管内圧が下がったのではないかということでした。
配管の途中に、バルブや栓は4か所ほどありますが、そのうちいつも操作するのは一か所だけです。

配管漏れなどがないのも確認し、次回から使用時にはもっと十分バルブを回して、様子を見る事になりました。

(なんだ、ボンベを開くぐらい、)と思っても、実際には一、ニ回ひねる回数を減らすだけで、状況が変ることがあります。

ちょっとしたことで状況が変るというのは、どんな世界でもありますが、酸素も例外ではなかったとは・・・。

「あなた、こんな企画じゃだめよ。もうひとひねりしなさい。」

なんて社会で言われるようですが、なるほど、「もうひとひねり」が大事なんですね。
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