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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

救急車

「うちの父が、今年は定年の予定なんですよ・・・。」

お茶の時間でした。マル子が父親へのプレゼントを考えているようです。

「お父さんは、救急隊員だったね。」

「エヘヘ、私、救急車に乗ったことがあるんですよ。」

カメ子が口をはさんだ。

「随分前の話ですけど、実家に帰っていた時なんですけどね、私は寝ていたんです。ところが明け方近くになって、お腹が猛烈に痛くなり、もう、声も出ないくらい痛くなって、脂汗が滲んできたんです。

これは尋常じゃないと思い、救急車を呼んでもらいました。
ところが、救急車に乗ってから、痛みが引いていったんです。

病院に着いて、歩けるくらいになったんですが、今更もう大丈夫ですとは言えず、車椅子で運ばれて診察を受け、とりあえず確認してもらって、家族に迎えに来てもらいました。

え?尿路結石ですか? 言われたことないです。ひょっとしたら捻転でも起こしかけたか?とか、言われましたが・・・。」

「そうか、その若さで、救急車に乗ったことがあるのか・・・」

救急車なんて、気が引けてとても呼べないと思っている私には、カメ子の体験談は意外な気がした。

「うちも妹が激しい腹痛を起こしたことがあるんですが、なかなか救急車は呼べないんです。

もし父が職場で、『この前、おまえんとこのお嬢さんを担送したぞ!』なんて言われたら、なんとなく恥ずかしいだろうから。

どんなに痛くても、家族で連れて行くようにしています。」

と、マル子。

うーむ、救急隊員の家族は、救急車を呼びにくいとは。

どんな世界も、気遣いが交錯しているんだな。
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